FC2ブログ

無実の君が裁かれる理由

著者:友井羊



ある日、大学生の牟田は、同級生の女学生にストーキングをしている、と疑われてしまう。身に覚えのないことであったが、周囲の人々は、SNSなどで、その情報を拡散。そんな牟田が、冤罪事件などに詳しい、とアルバイト先の店長に紹介されたのは、冤罪について調べている先輩の紗雪で……
というところから始まる連作短編。全4編を収録。
冤罪。実際にはやっているわけでもないのに、罪を犯した、とされてしまう事例。そんなものを題材にした物語。
冤罪がなぜ起きてしまうのか? それについては、色々なことが指摘されているけれども、そういうのを色々と取材し、物語に落とし込んだな、という感じ。
1編目については、SNSと、そして、証言というものの危うさ。思い込みとか、そういうものが出た「強い証言」があると、実際には見ていないのに、実際には違っているのに「そういうものを見た」と自分自身を騙してしまう。そして、そういうものが、SNSを通じて拡散され、より、その疑いは濃くなっていく。その中で過激化するものもあるし。そんな心理学的な要素が説明されていく。また、2編目は、自白。自白をすると、それをもって「有罪」とされがち。それは、裁判でも。しかし、実際に起きた冤罪事件でも、実際にはやっていないにも関わらず、自白してしまうことがある。特殊な条件下で、長時間の苦痛が続いたとき、その状況から逃れるために……。さらに、裁判官の側の問題など、そういう情報が色々と整理され、物語としてうまく説明されているな、と感じる。
もっとも、だんだんと紗雪自身の話とかへとシフトしていく、という話の組み立て方とかは、良くも悪くも定番という感じだし、その最期の事件については、ちょっと強引かな? と感じられてしまった。どっちかというと、物語というよりも、情報の面白さ、という部分が印象に残った。

No.5265

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0