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透明な君の後悔を見抜けない

著者:望月拓海



気付くと、駿府公園の中央広場にいた。ぼくは……誰なんだ? そんな僕に声をかけてきたのは、柔らかな雰囲気の大学生・開登。人助けが趣味だという彼は、僕と共に、僕の過去を探しに出かけ……(『熱血漢な野末一樹の後悔』)
など、後悔を抱えた主人公を、開登が解決していく連作短編集。全4編を収録。
これ、何気に感想を書きづらい。というのも、物語を書こうとしていくと、どうしても、思いっきりネタバレをせざるを得ないから。なので、1編目について、思い切りネタバレ全開で書かせてもらおうと思う。
一応、数行、開けるので、そのつもりで……



基本的に、物語は、幽霊となった主人公の後悔を、開登と共に晴らして……という形の話。1編目については、一樹が、というのがわからない状態で始まるため、作中の時間が大きく異なっており……というサプライズが上手くハマっている。
そして、2編目からは、そういう話なのだ、という前提で読み始めることになるのだけど、2編目は、そういうものとして読んだときに、素直に良い話だな、という感じ。鑑別所で出会った少女たち。共同生活を続け、ダンスチームを組んだのだが、自分はあまり才能が……。そんなときに起きた些細な喧嘩のままに……。謝罪をしたい。けれども、素直になれない少女。そんな少女を旅出せるために開登がとった手は……。ちょっとしたサプライズ。寂しい部分はあるけど、でも。そんな読後感が印象的。
そして、3編目では、開登についての話が入ってきて……。開登と出会い、自分の後悔とは? と考える可子。そして、なぜか、恋人(のような)となって、という形になる二人だったが……。恋人として接するうちに、自分の想い、というのを自覚していって……。こちらでもひっくり返しはあるのだけど、それよりも、可子、そして、開登の心情とでもいうべきもの。
自分の価値をどう位置づけるのか? 自分はなぜ、存在しているのか? 何も持たない(と本人が思っている)自分が出来ることとは……。拾遺からも「おかしい」と言われるくらいに周囲に気を遣う開登。そして、そんな開登に自分の心を重ねていく可子……。そんな二人の心、というのが何よりも強く印象に残った。

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