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薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理

著者:遠山郁



医師に言われたとおりに処方薬を塗布しているのに、足のかゆみが収まらない。水虫と思しき症状に苦しむホテルマンの水尾は、薬局で、毒島という女性薬剤師と出会う。その毒島は、症状、医師とのやり取りなどを細かく尋ね、医師の診断に疑問を抱き……
から始まる連作短編集。全4編収録。
タイトルやら、粗筋やらかもわかるように、薬剤師、薬、というものを題材にした物語。一応、犯罪に関する話なども含まれているものの、薬局などを舞台にして、薬に纏わるアレコレというのを物語に添えた形で綴られている。全4編なのだけど、1つのエピソードの中で、複数のトラブルが起きている話が多く、文字通り、薬に纏わる様々な問題を広く知らしめているな、という感じを受けた。
例えば、上に書いた粗筋でわかるように、そもそも、処方薬を指示する医師の問題。医師だって、人間だから……というのは勿論、ある。でも、中には、まともに診断もしないで「きっとこうだ!」というような形で間違った薬を出し、全く効果が出ないで……ということだって起こる。また、薬自身の効能。「この薬は、この病の薬」というようなことを言われるが、しかし、その病だけのものではない。使い方によって、別の目的になることもあるし、それが間違っているわけではない、なんていうこと。逆に、薬の効能についての誇大広告だったり、反対に、効能などないのに効能を謳うニセ医学の問題だったり……。1つ1つの話については、聞いたことがあるな、というものもあったのだけど、それらをまとめて、薬剤師とか、そういうものの周辺の色々なアレコレについて網羅的に感じることが出来た。
で、そんな中で気になっていくのは、ヒロインでもある毒島について。非常に生真面目で、知識豊富。変な話、医師の言うとおりに薬を処方していれば楽に仕事ができるのに、疑問を抱けば、その指示に疑問を呈することも厭わない。さらに、患者に説明するために、と、自らその薬を試してみたりもする。そんな彼女の源泉は何なのか? というのが気になるところなのだけど……
正直、ここはもうちょっと踏み込んでほしかったな、というのを感じた。一応、説明とかもされている。されているのだけど……1編で、複数のトラブルなどを入れる、という構成で、最後の4編目も描かれるのだけど、毒島さん自身についてはオマケレベルになってしまっているように思えたため。これだけ、引っ張った割に……という感じなのだ。そこはちょっと勿体ないかな? と感じた。

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