FC2ブログ

いつかの岸辺に跳ねていく

著者:加納朋子



森野護にとって、一番ワケがわからなくて、しかし、面白いのは人間だと思う。それを強く感じさせるのは、幼馴染の徹子の存在で……
そんな護視点の『フラット』、徹子視点の『レリーフ』という2章構成で綴られる物語。
前半の護視点の物語は……うーん……という感じ。
いや、つまらない、とか、そういうわけではないのだけど何と言うか……。文字通り、幼馴染として生まれ育った徹子。徹子は、自分の格好などにも頓着しないし、物事を頼まれたら断れない。そんな彼女のことが、大事な存在ではあるが、しかし、恋人とかそういう関係ではなく、友達として。そんな関係のまま、小学校、中学、高校、社会人……となって……
正直なところ、この『フラット』の内容。そのまま読むと、何か「煮え切らない話」っつーか感じなんだよな(笑)ちょっと変わった少女である徹子を守っているつもりの護。でも、よくよく考えると……。自分自身が徹子によって助けられたことが何度もあることを知る。そんな中、自分の想いを自覚した、その時に……。ある意味、えっ!? という感じで、終わる。そして、徹子視点の『レリーフ』に……
勿論、『フラット』での取り残された謎とか、そういうものが回収されていくのだけど、その背景にあるのは、徹子のある特殊な能力。ある意味で、ファンタジー的というか、ライトノベル的というか、そういう印象は受ける。ただ、その中の、ある意味では独りよがりな想い、っていうのは結構、苦しい。一見、そうなるのならば、ならないように……とも思う。思うのだけど、それをやったことで、護が……という経験をしていた。それがトラウマとなって……。この辺り、ちょっとしたことなのだけど、うまく工夫されているな、というのを感じる。
良くも悪くも、昨今の著者の作品の中ではライトな印象。がちがちの謎解き、というよりも、青春SFとか、そういうものが好きな人向けなのかな? という感じがする。

No.5285

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0