FC2ブログ

サラブレッドを殺すのは誰?

著者:大津光央



サラブレッドのローレンス号を背に、東京五輪馬術代表を目指す立花詩野。そんな彼女の特集を組んだ競馬誌編集部に一通の不審なメールが届く。そこには、13年前に起きたローレンス誘拐事件と、その事件に、立花が深くかかわっている、ということが綴られていた……
著者の作品は、デビュー作以来、久々なのだけど……やっぱり読みづらい文章だなぁ、という感じ。
物語の大多数は、13年前の事件を綴ったメールの内容に費やされる。オリオンパークという乗馬クラブで厩務員を務める語り部。そんな彼の前に現れた元騎手である鶴田という女性。成績を残せずに引退した彼女は、馬術の世界へ足を踏み入れていく。しかし……そんな彼女がローレンスと共に厩舎から姿を消し……
馬術は、ある意味で、最も金にならないスポーツ。自分用の馬を手に入れる、というだけで物凄い金がかかるし、プロの世界があるわけでもなく、五輪でもマイナー競技。そして、それを支える馬たちもまた、人間が良ければ生存できない存在。この辺りは、確かにその通り。実際、元JRA騎手である常石氏がパラリンピックを目指すにあたって、家を売ってでも資金を得て五輪への道を作りたい、とか言っているくらいだし……。そして、その各地の馬術競技を取り仕切っている役員たちの保守的な様相……。そういう部分は色々とあるのだと思う。
ただ、正直、作中の大半を占める告発メールそのものが、言い方は悪いけど、自分に酔ったような語り口で、どうにも気持ちが悪い(笑) これは好みの問題なのだけど、そういう文章で綴られる告発だけに、登場人物とかの印象がイマイチ印象に残りづらく、その後、次々と綴られていくひっくり返しも「まさか!」というよりも、「なるほど」くらいになってしまう。
そして、何よりも思うのが……設定にかなり無理がある、と感じられるところ。旧態依然とした役員とか、その中でのアレコレとかはまぁ、良いとして、立花たちの関わり方とかって、流石に無理がありすぎるだろう、と感じる。そのトリック、バレるでしょ、としか思えないのだ。
何か、全体的に強引だな、というのを想わざるを得ない。

No.5290

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0