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十三階の女 警視庁公安部特別諜報員

著者:吉川英梨



警察庁の公安秘密組織『十三階』。国家の異分子を排除するためには、どのような手段でも厭わない。その『十三階』に所属する黒江律子は、北陸新幹線爆破テロを起こした組織『名もなき戦士団』を壊滅させるため、組織の首謀者である女の夫に、ハニートラップを仕掛ける。だが、その男を愛してしまったかもしれない……
警察小説を多く手掛けている、という印象の著者。初めて、その作品を読んでみたのだけど……
正直なところ、序盤は物凄く読みづらかった。序盤は、冒頭の粗筋の前日譚となる話になるのだけど、時系列とかが飛び飛びの上に、まだ、主人公である律子についても良く分かっていない状態だったので、どういうことなの? という「?」マークが頭にずっと浮かんでいた。
とりあえず、そこを整理すると、元々、工作員として過激派組織の人間と接近。色仕掛けでスパイに仕立て上げるつもりが、犯されそうになったことで失敗。そのSに仕立て上げるはずだった男は、自爆テロを敢行。その失敗の責任を取り、組織を離れた律子だったが、直後に姉が事故死。その死は、その過激派によるものだ、と言われ再び『十三階』に復帰することに……というもの。
で、本編とも言えるのは、その後、『名もなき戦士団』のリーダー格である女の夫・白河に接近するところから始まる。日本赤軍の一員として、数多くの事件に関わり海外へ逃走。その後、逮捕され、獄中で自殺した女を母に持つ白河。合法的なNGO組織の代表としているが、彼の妻は過激派の幹部の女とされている。だが、接近して感じたのは、その男・白河への同情。兄たちには届く、母からの手紙が届かない。自分は、捨てられた存在なのか? そんな白河の言葉に、県議会議員の娘として生まれながらも、家族との距離を感じる自分を重ね、さらに、片思いをしながらも想いが届かない上司・古池と自分の関係性も重ねていく……
自らの失敗によって引き起こされたテロ。自分の上司である古池への想いを抱きながら、白河への共感に揺れ動きながら、身体を重ねていく。自らの任務への想いなのか? それとも? そんな感情の揺れ動きに引き込まれた。そして、そんな白河の正体。さらに、その妻である女との対決……
いや、設定として「何でもアリ」というのが『十三階』である、というのはわかっているのだけど、中盤の飛行機テロであるとか、色々と強引な感じはするのだ。するのだけど、でも、そんなものを吹っ飛ばしてしまうような律子の心の揺れ動きのインパクトが強かった。そして、再び、古池へ、と思いつつ、しかし、目的のために全てを捨ててしまった……という律子の絶望感、という結末もまた……

No.5299

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