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僕が僕をやめる日

著者:松村涼哉



「死ぬくらいなら、僕にならない?」 生きることに絶望していた立井潤貴は自殺寸前のところ、一人の青年に声をかけられる。そして、その青年・高木健介として本人変わり、大学生活をすることに。誰にも知られない二人だけの秘密の日々。だが、それから2年。ある殺人が発生し、その青年は姿を消してしまう……
奇妙な状況で始まった同棲、変わり身生活。しかし、本物の高木について知っていることは、覆面作家として活躍している、ということくらい。そんな中で発生した殺人事件で、高木として暮らしている立井は犯人としてマークされてしまう。自身が犯人ではない、というのはすぐに証明されたものの、自身が身分を偽っている身。さらに、犯人隠匿の疑いまで……。そんな中で、立井は、高木の過去について調べ始める。
その中で明らかになっていく、高木の過去。小学生の頃になって、ようやく戸籍を手に入れ、学校に通うこともままならなかった。さらに浮かびあがってくるのは、高木が何人もの人々を殺害しているのではないか、という疑惑。しかも、調査を進める中、立井に対して調査を中止するように、という脅迫まで来るように……
前作『15歳のテロリスト』もそうなのだけど、社会問題などを取り入れながら、という作風が板についてきたかな? という感じ。無戸籍の人間が抱えている問題。その背景にある貧困、DVなどと言ったもの。それらを描きながらも、立井の、自分を救ってくれた高木に対する感謝と疑惑という二つの入り混じった感情。その辺りが上手くアクセントになって、どんどん読み進めることが出来た。
真相そのものに意外性がある、っていうわけではないのだけど、でも、だからこそ、立井と高木の関係性が……と言う風にまとめたのも上手い。デビュー作からそうなのだけど、著者は、やっぱりこういうタイプの作品が合っていると感じる。

No.5314

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