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卒業タイムリミット

著者:辻堂ゆめ



『欅台高校、3年8組担任、水口里紗子を預かった』 ウェブ上にUPされた動画。その動画に、卒業式を間近に控えた新設私立高校は騒然となる。そんな中、不良として睨まれていた3年生・黒川の元へは「誘拐の謎を解け。真相は君たちにしか分からない」という挑戦状が。同じ挑戦状を受け取った元サッカー部のエース・荻生田、学年一の美少女・澪、黒川の幼馴染の優等生・あやねは、協力して、水口を探すことになるが……
結構、エグい話ではある。
「生徒、一人一人に居場所を」 そんな理念を掲げている高校。しかし、教員たちは、理事長の顔色を窺い、ただ生徒を抑圧するだけ。理事長の理念によってつくられた「告白カード」は、何も書かなければ呼び出し、真面目に書けばやっぱり呼び出し、という罰ゲーム。そんな学校にあって、奔放な言動で人気を集めていたのが、誘拐・監禁された水口だった。
若手教師の伊藤の協力も得て、その水口はどういう人物だったのか? を調べ始める四人。しかし、その実態は他の教師から言われるように自堕落なもの。そして、その中で浮かび上がってくる容疑者候補は、水口と対立していた、そして、四人からも嫌われている同僚教師。1日に3回、決まった時間に配信されることから、彼らのアリバイを調べ始める。そんな描写と、その中に挿入される深刻な「告白」。黒川自身の想い……
丁度、ちょっと前に、小学校でベテラン教員が、集団で同僚に嫌がらせなどをしていた、というのが話題になっていたけど、学校と言う空間の中での教員同士のイザコザ。さらに、新設校で、勉学、スポーツなどをについての実績を、と言うことの中での不正。さらに、教員の特定の生徒へ対する贔屓……。そういうものが露わになってくる。……正直、これ、自分の生徒時代とかに、自分自身も体験したことであり、物凄く身に覚えがある、っていう感覚になった。探偵役となる四人についても、秘密を抱えていて、それがどう結びつくのか、というのも興味を惹かれる形になったし、それらの伏線がしっかりとまとめ上げられる、という丁寧さは見事の一言。
ただ……読み終わると、何か気持ちが悪いんだよな(苦笑) 綺麗過ぎる、というか、独善的すぎる、というか……
犯人の想い、っていうのはわからないでもない。ないんだけど、そもそも、そんなギリギリになるまでなぜ犯人は何もしなかったのだろう? もっと他に打つ手があるんじゃないの? また、黒川自身についても、ちょっと唐突というか……。そこまで、学校内での結構、エグいやりとりとかがリアリティも伴っているだけに、結末に違和感を覚えてしまった。
話の構成とか、そういうのはしっかりと出来ている。だからこそ、かな?

No.5356

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