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僕と彼女の嘘つきなアルバム

著者:高木敦史



故郷の街に息苦しさを感じ、東京の大学に進学した可瀬理久。彼が敬愛する写真家・綿引クロエが立ち上げた創作サークルへに入会。しかし、既に廃部寸前で、活動もしていない。そんなところに現れたのは、クロエの娘・真白。彼女は、会ったことのない自分の父親を捜している、という。そして、彼女には「写真越しに目の合った相手と会話が出来る」という不思議な力を持っていて……
スニーカー文庫じゃなくて、角川文庫での刊行。レーベル的には一般文芸ということになるんだろうけど、真白が一種のサイコメトラーである、ということを考えても、設定的にはライトノベルレーベルっぽい感じがした。
物語は、本編たる4編と、その間に掌編を含めた形で綴られ、それぞれのエピソードで謎があり、それを解消して、という形になっている。ただ、それらは、真白の父を探す。真白と母の関係性を、というところで貫かれており、連作長編というのが正しいのかな? という気はする。
例えば1編目は、可瀬、そして、真白がサークルの部室へとたどり着いたところ。部室には、クロエが残した、という写真があったはずなのだが、なぜか、それが消失。その中で、クロエのファンである可瀬が盗んだのではないか? という疑惑が湧いてしまう。そんな中で、真白は、その部室にいた面々の、それぞれが嘘をついている、ということを指摘して……。それぞれの嘘。その中での破綻。そんなところを描きつつ、真白が、どういう存在なのか、というのを示すエピソードになるのだろう。
で、そんな感じなので、各エピソードの感想を、というよりも、全体を通しての印象が強くなのかな?
娘である真白からしても、厄介な存在、である母。幼いころから、自分に父親がいないことが疑問であったが、そのことについてまともに語ったことは一度もない。だからこそ……。そして、真白自身が、自分に正面から向き合ってもらっていない、ということを感じていた。故に、どうしても感じる距離。そんな中、可瀬や、サークルの仲間たちの協力によって父について調べていく中で……
ぶっきらぼうで、自分に対して正面から向き合ってくれない、と感じていた母の真意。それでも、真白が、ちゃんと幸せになってほしい、という思いが込められていた……という辺りは素直に良かった。サークルメンバーが良い人過ぎる、という気がしないでもないけど、それは気にしちゃいけないとして……。そこは確かに感じた。
ただ……正直、ちょっと読みづらい、っていうのを感じた部分もある。というのは、物語の視点が唐突に切り替わる部分が何度かあるため。基本は、可瀬視点なのだけど、突然、真白視点と思われる部分になったり、母親視点になったり……とか、そういうのがあった。読んでいれば、っていうのはあるんだけど、「いつの間に、こっち視点に?」と思われる部分があったのはちょっと気になった。

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