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竜と祭礼 魔法杖職人の見地から

著者:筑紫一明



師匠が死亡し、店をたたみ、旅に出ようとした半人前の杖職人・イクスの前に一人の少女が訪れる。その少女・ユーイは、師の作った魔法杖の修理を依頼するために訪れたという。師の遺言により、修理を請け負うことになるイクスだったが、伝説の職人と言われた師の作は見たこともない材料で作られていた。ユーイ、姉弟子・モルナらの手助けもあり、その材料を特定することは出来たが、その素材は、千年以上前に絶滅されたとされる竜の心臓で作られており……
第11回GA文庫大賞・奨励賞受賞作。
あ、これ、私の好きな奴だ! 読み始めて、まずそう思った。
物語はどちらかというと淡々と進む。冒頭に書いたように、師の遺言により、師の作った杖を修理することになったイクス。師の作った杖の材料は何なのか? その材料は「竜の心臓」というのだが、竜ははるかむかしに滅びたはず。そもそも、竜とは一体何なのか? 資料や伝承といったものを頼りに、一歩一歩、その正体へと迫っていく。地味な展開と言えばそう。でも、その地味に調査をする中で、作品の世界観とか、そういうものが少しずつ見えてくるのが心地よい。
そして、そんな中でちょっとした違和感が……と言う中での、杖がなぜ壊れたのか? なんていう部分でのひっくり返しがあったりとか、地味ながらも、ちゃんと物語の起伏があるのも好印象。その点で、ちゃんとユーイの成長物語としても機能している、っていうのも個人的には好きなところ。
あとがきで、「映し出す範囲」が少し狭くせ呈されている、とあるけど、確かに世界観などを後から、という点では多少「ズルい」と思う部分はある。ただ、あるんだけど、別に唐突に、後付けで、というわけではなく、物語の展開を考えるうえで、こちらの方が読者を引き込むことができるため、という計算なのはよくわかる。実際、「そりゃないだろ」とか、そういうのは全く感じなかったし。
最初にも書いたけど、私、この作品、大好き。続巻あるなら、それも期待したい。

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