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東京湾の向こうにある世界は、すべて造り物だと思う

著者:中西鼎



軽音部の部室で殺された少女・ミズ。それから5年、抜け殻のように生きる僕の前に、彼女は突然現れた。5年前の姿そのままで。「同窓会を開きなよ」 僕にしか見えない彼女に振り回され、止まったままの時間が動き出す……
とりあえず、著者のプロフィール欄。「スニーカー大賞・特別賞を受賞してデビュー」とだけしか書かれていないことに笑ってしまった自分。『特殊性癖教室へようこそ』ってタイトル、載せろよ。
と、中身と関係のないことはそれくらいにしておいて……
青春ミステリ、と言えるのだろうけど……かなりの程度、青春モノとしての部分が強調された作品、と言う感じかな?
物語は冒頭に書いた通り。文化祭最終日に行うはずだったライブ。しかし、その朝、ミズは他殺体となって発見された。当然、ライブは中止。犯人は捕まらないまま、当時のメンバーは有耶無耶のうちに離れ離れに……。主人公自身も音楽を続けることもなく、現在はしがないサラリーマンとしての日々を送っている。そんなときに……
ミズの提案によって開くことになった同窓会。それなりに集まった当時の面々。その中で、当初は普通の同窓会とでもいうべきもの。しかし、どうしても出てくるミズの死、という話。そして、やがて、ミズを殺したのは誰なのか? ということを調査しよう、という話になって……
学校のセキュリティ体制とか、そういうもので「可能だったのは誰か?」なんていう部分も勿論あるのだけど、その一方で、当時のメンバーたちがそれぞれに抱えていた事情。勿論、それは、主人公も、ミズもまた抱えている。それらが明らかになって……。そんな真相が明らかになってからの行動……
言い方は何だけど、ある意味、「中二病」的な想い。それを解消して、ならばよいが、それを抱えたまま……。そんな鬱屈と、それを数年ぶりに解決して、の結末。ちょっと不思議な状況がありつつも、それを皆が受け入れての結末は素直に心地よかった。そういう意味で、まさしく、「止まった時間が再び動き出した」ということになるんだろう。

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