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むしめづる姫宮さん2

著者:手代木正太郎



「虫」に取り憑かれた少年少女たちの悩みを解決していくシリーズ第2巻。
なんか、物凄くざっくりとした紹介文になったのだけど、一応のつながりがあるとはいえ、それぞれが独立した話であり、それぞれのエピソードごとに書いた方が良いのかな? と感じるため。そして、これ、すっげぇ面白ぇ!
1編目『ワカナモテカマキリ』。クラスの中心的なギャルグループ。その中で、目立たなかった若菜が突如として、周囲の目を見張るような魅力を醸し出した。彼女に突如として訪れたモテ期。しかし、そのことが仲の良かったはずのグループの関係を一気に悪化させることになって……
学校と言う社会の中で、若菜の考えってわかる。姫宮さん、羽汰という「友達がいない」存在であり、別に……という存在が例外的。友達がいない、なんていうのは恥ずかしい。そもそも、学校生活などにおいて、それは様々な弊害ももたらす。そんな中で、一応の友達を確保しつつ、その中で目立ちたくない、という若菜。それについた虫……。その虫に対する蘊蓄なども面白いけど、学校の息苦しさとか、そういうのを感じるエピソードだった。
2編目『ハチヤサッカーバチ』。女子サッカー部のエース候補と言われる少女に「虫」がついているのでは? と相談を持ち掛けられた羽汰と姫宮さん。憑かれているらしい蜂谷は、自主練などは一生懸命だが、なぜか試合などでやる気が持続せず……
これについては、依頼人もまた……というのは何となく予想出来ていた。ただ、このエピソードについては、その解釈が秀逸だな、と。正直なところ、この関係って、一方的に搾取……というものだと思うし、実際の虫ではそうなのだろう。でも、その結果……という話などから全く正反対に解釈して見せるところが良さなのだろう。この作品ならでは、だと思う。
そして、3編目『ミナモトホシホタル』。作中、しばしば挟まれる姫宮さんと、彼女が出会ったホタルに憑かれた少女・源さん。星を見るのが好きで、友達などいらない、という源さんと、虫が大好きな姫宮さん。一緒にいても全く会話が噛み合わない二人だが……
ホタルに関する蘊蓄によって生じるアレコレ、もある。あるんだけど、それ以上に、作中に色々と出てくる美術教師・犬山の存在感が大きいな、と。同じだという存在と一緒にいてもダメ。そして、人、特に高校生くらいだとどんどん変化する。その意味するところ……
主人公サイドである羽汰、姫宮さんの成長なんていうのもしっかりと描かれており、前提となる部分が1巻で、というのを除けば、この巻だけでも十分、1冊の作品として完成されていると思う。

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