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オレオレの巣窟

著者:志駕晃



オレオレ詐欺グループの「社長」として莫大な「売上げ」を確保する平田。就職したものの、奨学金の返済に苦しむ真奈美。最近、儲けが減ってきた結婚詐欺しの竹崎。ある目的をもってオレオレ詐欺の「かけ子」を目指す松岡。容姿に恵まれない出会い系のサクラ・貴美子。彼らの運命が交わる時……
なかなか感想を書きづらい作品だな。
粗筋ともいえない粗筋でわかるように、物語は、5人の男女の視点で綴られる。見ての通り、主人公は、ロクな存在がいない。まぁ、堅気と言える存在は、真奈美くらい。しかし、彼女は、奨学金の返済に苦しみ、デリヘル嬢、そして、キャバクラ嬢へと落ちていく……。その他は、と言えば……。それぞれが出会い、それぞれの思惑が交錯していく、と言う話ではあるのだけど、互いに騙し、騙され、さらに、相手を思うとか、そういうものも含まれていく。その中で……
はっきり言って、ロクデナシばかりが登場するのだけど、真奈美の奨学金と言う名の借金の問題とか、はたまた、各主人公たちの詐欺の手口であるとかそういうのが色々と出てきて、(掘り下げられている、とは言えないにせよ)社会問題とか、そういうのを多く含んだ作品になっている。この辺りは、著者のデビュー作などと共通するものを持っている、というのを感じる。
その中で、中心となるのは平田。オレオレ詐欺の社長として大金を稼いでいるが、しかし、金主には逆らえない。そして、真奈美に魅かれていく。そんなとき、詐欺グループに捜査の手が入り、何とか逃れるものの、引退を決意するが……。文庫裏表紙の粗筋でも中心的に描かれているように、平田の物語が、中心になっているのは確かなのだろう。
感想に困る、というのは、その辺りかな? 正直なところ、中心となる平田の物語の決着部分とか、その辺りは何となく予想できる範囲内になるため。その辺でちょっと終わってみると、やっぱりか、という感じになる。
ただ、読中はテンポの良さとか、はたまた、先に書いた社会問題やら詐欺の手口やらでどんどん読み進められるのは長所と言える。感動作とか、そういうタイプの作品じゃないけど、ちょっと読むには……というエンタメ作品とは言えるだろう。

No.5383

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