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スワン

著者:呉勝浩



埼玉県にある巨大ショッピングモール・スワンで起きた銃撃テロ事件。死者21名、重軽傷者17名を出した前代未聞の事件。それから半年。犯人と接しながら生き延びた高校生・いずみの元へ一通の手紙が届く。その手紙によって集められたのは、その事件で生き残った者たち。主催者の目的は、その事件で死んだ一人の老婆の死を真相を探ること……
著者の作品はずっと読み続けているけど、読みやすさ、という点では過去でもトップクラスだと思う。
物語は序盤50ページほどで、群像劇の形で、事件のあらましが綴られる。そして、物語の時系列は一気に飛んで、いずみ視点での物語が始まる。
主人公であるいずみは、ショッピングモールで事件にあった存在。しかも、多くの被害者を出したスカイラウンジで犯人に迫られ、「次の被害者を選べ」とされた存在。現場にいたクラスメイト・小梢の証言が世に出たことで、世間の非難を浴びることになった。そんな彼女の元へ届いた招待状……
主催者の目的は、一人の老婆の行動を知ること。事件発生時、スカイラウンジにいた老婆は、なぜか別の場所で発見された。勿論、事件が起こったことで避難しようとしたところで……というのであればわからないのではないのだが、しかし、それには謎が多い……。というところから始まるのだが……
そもそもが、相手の素性も良く分からない面々。身元についても良く分からず、いざ、それぞれの行動を語る際になってもそれぞれは何かを隠している。勿論、それはいずみにも言えて……。そんな面々の主張はしかし、様々な証言などから否定されていく。そうやってそれぞれの嘘が暴かれる中……。それと同時にいずみ自身のことも出てきて……。この辺りの緊張感は間違いなくあるし、テンポの良さもあって引き込まれた。
ただ、終わってみると、何かはぐらかされたような……。いずみのアレコレについても、何か、腑に落ちないというか……
理不尽な事件に直面しての、関係者の苦悩とか、そういうのは確かに伝わってくるし、その葛藤とかもあるのはわかる。わかるんだけど、何か綺麗にまとまりすぎな気がする、というか……そんな感想が残った。

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