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希望の糸

著者:東野圭吾



自由が丘で喫茶店を経む女性が殺害された。捜査の最中、恨みなどを買っている様子はなく、経営も順調。そんな中、浮かび上がってきたのは、殺害された店主・花塚弥生が親密にしていた男性常連客……。そんな中、事件の捜査に加わった刑事・松宮は、自分に出生に纏わる話が舞い込んで……
加賀恭一郎……の従兄弟である松宮脩平を主人公にした話。加賀も登場はするが、どちらかと言うと、松宮の相談相手のような立場で、と言う感じではあるのだが。
で、物語としては、自由が丘での女性殺害事件。そして、松宮自身の事情という二本立て、という形。
女性殺害事件。殺害された女性には離婚歴があり、現在の喫茶店はその離婚後に始めたもの。子供はいない。そして、そんな彼女の元に通い詰めていた常連客の汐見は、妻を喪い、中学生の娘を一人で育てている。汐見は、自分は彼女と交際しているわけではない、というが何かを隠している様子がある。娘の気持ちを考えれば……という部分はあるものの、別に交際をしていたって問題ない関係のはず。では、その関係は? さらに、女性は、その死の一週間前に離婚した元夫に連絡を取っていた。内縁の妻がおり、離婚から10年余り、何の連絡もなかった二人がなぜ? 元夫は、近況報告と言うが、それも不自然。しかも、女性の死後、なぜか元夫は女性の遺品整理などを買って出ていて……
一つ一つの行動は、絶対におかしい、というわけではない。けれども、何か感じる不自然さ。二人の男は何を隠しているのか? そんな中、唐突に、その女性を殺した、という人物が現れるが、しかし……
松宮の方の話も含めて、「家族って何だ?」というようなテーマになっている話。ネタバレをしないで書こうとすると難しいのだけど、現代だからこそ起こり得る汐見、花塚の間に横たわることになった問題。「血を分けた」というけれども、その「血」って何だろう? 一部では、実践されている話とも関係性があり、その中でどう折り合いをつけていくのか? そういう問題提起として考えさせられた。
その一方での、松宮の出生の秘密については……。うーん……この家族、関係が複雑すぎだろ! という苦笑いが出てしまった。いや、事件の側の家族との対比、という狙いがあるのだろうけどさ……
あくまでも、個人的な思いとしては、事件関係者の話しだけでまとめても、十二分に読ませるだけの力があったんじゃないか、という気がする。……加賀一族の家庭が複雑すぎる、という点も含めて。

No.5411

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