FC2ブログ

レゾンデートル

著者:知念実希人



30代の若さにして、末期癌であることを宣告された医師・岬雄貴。酒浸りの自業自得の日々を送る中、チンピラに暴行を受けてしまう。その復讐に赴く雄貴だったが、弾みで相手を殺害してしまう。警察の手が伸びることに怯える雄貴だったが、なぜか現場には世間を賑わせる連続殺人鬼「切り裂きジャック」の犯行を示すカードが……。そして、雄貴はジャックの命令で殺人を犯すことになるのだが、そんな中、歌手を目指す少女・沙耶をかくまうことになり……
著者のデビュー作である『誰がための刃 レゾンテートル』を改題、改稿したもの。もっとも、応募したときのタイトルが『レゾンテートル』だったそうなので、元に戻った、と言うべきなのか……
物語は2つのポイントとでもいうべき部分で展開していく。雄貴を共犯、というか、手足として使おうジャックの正体は何者なのか? もう一つが、沙耶を追う存在は誰で、何が目的なのか? という部分。
間もなく死ぬ、という自暴自棄に加え、自らが殺人犯にされていく、という状況の雄貴。そんなところへ転がり込んだ沙耶に対し、恋愛感情などがあるわけではない。けれども、守らねば、という思いはあるし、自暴自棄だった自分にとっての救いになっている、という思いもある。さらに、自分に近づいてくる警察の捜査。だからこそ、沙耶を守り、さらに、ジャックを止めねば、という思いに至っていく。
世間を賑わせる殺人鬼・ジャック。凶悪犯罪をしながら、様々な理由で減刑されたり、罪に問われていない者たちを次々と殺していく存在。一部には、彼こそ、正義の体現者という者までいる。だが、凶悪犯罪さであることは間違いない。なぜ、彼は、殺人を犯すのか? 過去の事件。さらに、ジャックの犯行、と言われていないものから絞り込んでいくが……。そして、その一方で、沙耶が事件に巻き込まれるきっかけとなったペンダントに隠されていたSDカード。そこに記されていた写真、暗号らしきものの意味するものは……
改稿された、ということもあるのだろうが、非常にテンポよく進んでいく物語。そして、医療関連の要素はありつつも、あくまでも、ジャックの正体、沙耶を狙う者の正体、というところで進んでいくなど、読者が予想できる形で進展していくのも良さと言える。
もっとも、終盤は、ちょっと……いや、かなり強引にまとめ上げた感じはする。登場人物が殆ど死んでしまう、って……。その辺、もうちょっと綺麗にまとめ上げられたんじゃないか? という気はするのだけど、でも、デビュー作からしっかりと引き込まれる作品を書いていたのだな、というのを実感した。

No.5421

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0