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七丁目まで空が象色

著者:似鳥鶏



マレーバク舎を新設することになった楓ヶ丘動物園。桃本らは、飼育方法などを学ぶため、山西市動物園へと研修に訪れる。そこで、桃本は従弟の誠一郎と再会したり、と思わぬことが起こるのだが、そんな中、動物園に異変が。鳴り響く爆竹の音。そして、その騒ぎの中、飼育している象が脱走してしまい……
シリーズ第5作。
前作から約2年ぶりか……というのがちょっと意外だった。
今回は、冒頭に書いたように、動物園から象が脱走してしまう、というところから。象、というと温厚な動物、という印象が浮かぶが、体重は5トン以上にもなり、何かの拍子に暴れたりすれば文字通り、人間には手のつけようもない巨大な生物。そんな象が街中へと脱走してしまった。しかも、麻酔銃について敏感で、それを察知して抵抗をする。そして、何か、目的をもって歩き回っているようにも思われる。その中でどうするのか……
中盤まではとにかく、脱走した象をどうするのか? ということメインにした展開が続く。何とか、飼育員である誠一郎が暴れないようになだめすかすことには成功するが、麻酔銃はダメで、動物園の方に戻すことも出来ない。その中で、本来の飼育員の一人が行方不明になっている、ということは明らかになったが、しかし、それらはとりあえず先のこと。このままいけば、警察らによって殺処分も……そんな緊迫感のある展開が続いていく。そんな中、アジアゾウであると思われていたについて、おかしなことに気づき……
ここからが急展開。アジアゾウであるはずの脱走した象。しかし、それが? いつの間にかすり替えられた? しかし、脱走した象をすり替えるなんてことが出来るのか? そもそも、象をすり替えてどうするのか? そんな疑問から始まり、物語の真相が思わぬ所へと行く様は圧巻。
今回は国家的な策謀とか、そういうものも関わってくるので、その点は流石に……と思える部分がないではない(ただし……と思う部分もあるのも事実だが) でも、そのきっかけとなった研究であるとか、そういうのは考えさせられる。確かに、そういう研究などが色々と世間を騒がせたこともあるし、そこで得られるものも多いのだろうけど、施設のプライドとか、そういうのが関わってくるとこれほど面倒くさいことはない、っていうのは強く思う。まして、そこで生み出された動物は……
序盤は、緊迫感のある展開でエンタメ性を高め、その上で、ちょっとだけ、ではあるが問題提起も。過去作品との共通点もありつつ、新たな切り口を見せてくれたな、と言う風に感じた。
ところで、あとがきの、物凄い方向で明後日の方向に行くドライブ館もすげぇ(笑)

No.5437

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