FC2ブログ

引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還

著者:雫井脩介



新米ヘッドハンターとして働く小穂は、様々な依頼に悪戦苦闘しながらも、その仕事に対しやりがいを見出していく。そんな中、父の会社が経営危機に陥っていることを知り……
昨日更新した『引き抜き屋』の第2巻。
1巻のときは、ある意味、ビギナーズラック的な部分も含めて、小穂が手掛けた事案が成功する話だったのだけど、今回はむしろ、苦戦する、という話が多くなっている。
1編目『苦心』。小穂が受けたのは、従業員30人余りのカバンメーカーの後継社長を探してほしい、というもの。長年、老齢の社長が経営を一手に担い、役員という立場の人間も、あくまでも現場で作成を担うだけ。自分には無理だと述べる。会社の技術、何より社員たちのためにも、と考える。しかし、小さな会社ということで、引き受けるプロ経営者の将来を考えると依頼がしづらい。その一方で、家族経営にも近い会社だけに、その空気を理解する者が望ましい。そんな中で、浮かび上がるのは……
それなりの規模がある会社とは異なった、ワンマン社長の会社。それ故の難しさ。小穂の一生懸命さと、社長の、個人的な人間関係が影響してしまった結末は、ほろ苦くもあり、でも収まるべきところに収まったように感じる。
異例の形なのは2編目『報復』。同僚である左右田と共に挑むのは、拡大を目論むカフェチェーンの戦略担当をチーム丸ごと連れてきてほしい、というもの。そんな中で、左右田は、メガネチェーンの部長に目をつける。勿論、その部長は有能な存在ではある。しかし、左右田が彼に執着するのは、そのメガネチェーン社長に対する遺恨があるが故。一方、そのメガネチェーンでは、派閥人事などの争いがあり……
そもそも、引き抜き劇の中心が左右田、というだけでも異例だけど、左右田がアイドルオタクで、そのコンサートに行ってみたり、とか結構、遊んでいる感じの話。そして、その結末も……だし。ただ、本来、客観的な視点で、ということになるはずのヘッドハンティングだけど、ハンターの個人的感情とかが絡んでくる、という部分などは興味深く読めた。
そして、3編目の『帰還』。海外資本の化粧品会社の日本法人社長を、という依頼が入る小穂。それ自体は順調に進むものの、その中で耳にする父の会社の危機。その会社の危機の中、怪しげな動きを見せる大槻。しかも、父の会社で事故も発生して……。極力考えないようにしていた父の会社のこと。しかし、いざ、危機が訪れる中で思う「何とかせねば」という想い。ある意味では、このエピソードの小穂は、帰還ではあるのだけど、同時に報復とも取れて……という感じがした。正直、その結末は上手くいきすぎじゃないか? とも思うのだけど、それは野暮かな?
自分としては、あまりこの手の作品は読まないのだけど、会社、人事と言ったものを巡っての駆け引きとか、そういうものを楽しむことが出来た作品だった。

No.5469

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0