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境内ではお静かに 七夕祭りの事件帖

著者:天祢涼



自分の生き方を探し、兄が宮司をつとめる源神社で働く坂本壮馬。共に神社で起こる事件を解決してきた美少女・久遠雫に想いを抱きながらも、いつもクールな彼女の心がどうなのか掴めない。そんな中、雫につきまとう雅楽演奏家の上水流や、壮馬の元恋人・佳奈が現れて……
シリーズ第2作。
前作は、日常系かな? と思わせておいて、結構、シリアスな印象があったのだけど、それで耐性がついたのか、それとも実際にそうなのかはわからないけど、前作ほどはシリアスな印象はなかった。実際に、それぞれの話の背景は、結構、シリアスな部分があるのだけど。
ライトに感じたのは1編目が、神社を離れた話だから、っていうのもあるのかな? 壮馬が昔付き合っていた女性・佳奈が現れ、彼女の父、そして、彼女自身が務める学習塾の手伝いをすることに。そこで知り合ったのは、複雑な過去を持つ少年。グレていた時期、佳奈と出会い、勉強に打ち込むようになった少年。しかし、ある時をきっかけに、塾を休むようになり、やがて、塾をやめると言い出して……。なぜ、少年は塾をやめると言い出したのか? というのが謎になる。少年の過去、さらに出会いの経緯から雫が導いた答えは……。このあたり、風習とかしきたりとか、そういうところの掛け違いと、過去のトラウマってことになるんだろうけど……。確かに、正しいやり方だった、としても……っていうのがわかる。
神社に関する蘊蓄が多いのが2編目。神社の氏子となりたい、という岩見という男。九州から来た、という岩見と、その娘だったが、娘は、父が悪いことをしていると言い出して……。神職になる、ということの中にあるルール。さらに、神社の経営。そういう部分での「へ~」というところが多かった。事件そのものは結構、陰湿だけど。
そんな話をする中で、クローズアップされてくるのが、雫が北海道の実家へ戻るかどうか? という部分。神楽を舞わず、実家にも帰らない、という雫とそれに怒る父親。そんな中、それまでのアレコレが伏線となってきて……
それまでの会話などのちょっとした違和感とか、そういうものが伏線になっていたという構成の見事さも光るのだけど、個人的には、それを主導した者たちのエゴイズムとでも言うべきものが気になった。第三者の目から見て「これがベスト」という風に思えることは多分、沢山ある。あるのだけど、じゃあ、そうするために何をしても良いのか? しかも、「あなたのため」と言いつつ、そこには当然、自身の望みなんていうのも見え隠れ。その辺のエゴっていうのが印象に残った。
……って、そういう風に考えたら、やっぱり結構、ヘビーだったわ。

No.5482

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