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偽画

著者:松下麻理緒



「知られざる傑作がある」 世界的に名を馳せた画家・山岡はそう残して他界した。その発言を聞いていた学芸員・園田由紀は、当初の個展から、山岡の回顧展の準備にかかることとなるのだが、その「傑作」を持っていた山岡の主治医もまた、不可解な死を遂げて……
松下麻理緒名義での作品を読むのは実に8年ぶり。
読んでいて、そうそう、こういうカラーだった、というのをどんどん思い出した。そのカラーっていうのは、ドロドロな人間関係って奴。
物語は、上に書いたように、山岡の回顧展の準備をする由紀視点で綴られる。由紀自身は山岡の個展のために雇われた臨時職員で、前任者は、山岡の妻の地雷を踏んでしまったために、辞めざるを得なくなった、という事情があった。そして、その山岡自身、元の妻子を捨て、現在の妻と……という経歴がある。
山岡、そして、不可解な死を遂げた主治医。どちらも、最後にあっていた人物は山岡の現在の妻。どうしても集中する疑惑。その中で何かを隠している様子が見られるのだが、一体、何を隠しているのか?
晩年の山岡は、病もあって視覚に障害があり、妻が創作を手伝ったいたらしい。もしかして、妻の手が入っていた!? しかし、例えばルネサンス時代の巨匠とかは、工房で何人もの弟子を抱えており、一種の共同作業であったことは皆が知っていること。だからと言って贋作とは言えないし、まして、密室状態での制作。妻が「そんなことはない」と突っぱねれば良いだけのこと。医師を殺す必要などはないはず。その医師の残した暗号のようなメモの意味は何なのか? 妻について、様々な疑惑が浮かび上がっていく様は素直に面白かった。
ただ、その真相について、何となく想像ができてしまったのはちょっと勿体ないかな? タイトルの意味するものとかは、山岡の経歴とかを見ると……って感じてしまうし、それを隠すための工作にしてもかなり杜撰。曲がりなりにも、専門家がした工作なら、もうちょっと緻密にできると思うし。
それと、由紀の過去、由紀の父の過去とか出てくるのだけど、肉付けにはなっているけれども、ちょっと中途半端な感じがした。

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