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アンフィニシュトの書 悲劇の物語に幸せな結末を

著者:浅白深也



「主人公募集」 そんな言葉に惹かれ、アルバイトに応募した輝馬。雇い主である怪しげな美女に手渡されたのは、物語が途中で終わっている1冊の書。それは、読んだものをその中の世界へと引きずり込むというものだった。物語の世界で、パン屋を営む少女・アリアと出会った輝馬。だが……
一応、ネタバレといえば、ネタバレになるのかな?
物語の世界でアリアと出会った輝馬。可憐で明るい彼女に惹かれ、そして、彼女のパン屋を手伝うことにした輝馬。しかし、物語世界の3日後。アリアは何者かに殺害されてしまう。……というところで、現実世界に引き戻され、アリアが殺されない結末へ導くことが使命であることを知る。だが、何度やってもアリアが殺される、もしくは、輝馬自身が殺される、という結末を繰り返すこととなり……
物語(作中作)の世界観としては、西洋のような田舎町。アリアの店には、常連客が頻繁に訪れ、パンを買っていく。しかし、町では、少女誘拐殺人事件が起こっており、そのことが街の空気に暗い影を落としている。そして、アリア自身も、輝馬と出会うまで、何らかの事情でパン屋を休業していたらしい。事件の中で輝馬は、その誘拐犯がカギだと考え、常連客らの話を聞きながら、その犯人を探っていくことに。しかし、先に書いたように、何度やってもアリアの死か、自身の死という結末へたどり着いてしまう……
純粋にミステリ、として考えると、明らかに怪しい人物を見逃していたりとかがあるのだけど、輝馬はごくごく普通の高校生。そこまで気が回らなくて当然だし、何よりも、最初は「なんだこのバイトは」と思っていたのが、アリアを救いたい、という思いに雇い主らすらもが心配になるくらいに事件に入れ込んでいく。その姿はまさに、「主人公」そのものだと感じた。そして、ようやくたどり着いた真相……
この結末は、納得がいかない、という人もいるかもしれない。けれども、この結末って、序盤に雇い主である絵色と輝馬で交わされた「ハッピーエンド、バッドエンドとは何か?」というやりとりの答えでもある。バッドエンドに見えても、本人はハッピーエンドだったのかもしれない。真相が明らかになっての話は、まさにその状況になっているんだよな。
君の物語の主人公は、君自身だ!
なんか、学校とかのCMコピーでこんな感じのフレーズを目にすることがあるけど、この話には、そんな言葉がぴったりとくるような気がする。

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