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エンドレス・スリープ

著者:辻寛之



港湾倉庫で発生した火災。しかし、その火災により、冷凍状態になっていた5体の身元不明遺体が発見された。異例の事件に、警視庁は捜査本部を設置。遺体は、どこから来て、何のために冷凍保管されていたのか? そんな中、身元が判明したフリーライターの遺稿には6人の名が記されていて……
丁度、数日前に同じく「死」を題材とした『眠りの神』(犬塚理人著)を読んだばかりなのだけど、テーマとして共通した部分と、そうではない部分があり興味深く読むことが出来た。
物語は、最初に身元が判明したフリーライター・如月をはじめとして、それぞれの人物に関する手記(というか、ブログ記事)と、その狭間に事件を捜査する刑事・矢島らが事件について捜査をする、というシーンが挿入されていく。
その中心となる手記。それぞれの章の主人公は、それぞれ、不治の病や、末期の病に侵されている状況。何とか治療を、という思いはありつつも、それが無理だ、という気持にもなっていく。そんなときに医師である、臨床宗教家である白川紬という女が現れ「エンドレス・スリープ」なるものを提案していく。
自らの死を前にした時の絶望感。その中で、僅かに差し込む希望。エンドレス・スリープ、いや、コールドスリープというのは、SFとかではありがちだけど、そういうものが可能だ、というときに……というのはあるのかもしれない。しかし、実際に彼らは死んでいる。エンドレス・スリープなるものは詐欺なのか? ある意味、その希望があることで、不安を覚えることがなかった、というのも事実。だが、そういう不安を取り除くことが目的であるならば、なぜ冷凍状態で保管などしていたのか?
捜査を進める中で浮かび上がってくる手記と現実の相違。重要人物と思われているが、しかし、どこにいるのかわからない白川紬。そして、捜査員をあざ笑うかのようにネット上にUPされる手記。その思惑は何なのか?
途中、白川が消失する、というトリック。また、その黒幕と言える人物の思惑とかはちょっと強引な気はするけど、ただ、その黒幕の仕掛けた罠の見事さとかは十分に堪能できた。
途中までは社会派ミステリ的な感じだったけど、終わってみると、純粋にエンタメ作品としてのカラーが強かったかな? でも面白かった。

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