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スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 子ども食堂と家族のおみそ汁

著者:友井羊



スープ屋「しずく」のシェフ・麻野は、ある日、子ども食堂の運営に協力を依頼される。そこで、麻野が出会ったのは、様々な傷を負った親子。露の母・夕月逢子も関わっているその行為の中で……
シリーズ第5作。
本作も連作短編の形式は取っているのだけど、子ども食堂を通じて、色々と問題を抱えた親子の話、とテーマが統一されていること。さらに、その背景に、露の母が関わっている、ということもあり長編のような印象がある。
例えば1編目、麻野が子ども食堂にかかわるきっかけとなる出来事。ふさぎこむ少女。母親と祖母の関係性。その折り合いの悪さと、しかし、親子というしがらみの中で犠牲になっていく少女。家族だから乗り越えられる、みたいな表現はよくあるのだけど、家族であっても折り合いの悪さ、というのは乗り越えられないこともあるし、犠牲が……ということもある。人間関係の暗い側面だけど、でも、そのことから目を背けられないのも事実だと思う。
逆に、児童相談所とかが、積極的に動いて……というのが裏目に出た2編目。虐待をしている人が、そのことを認めないことも多い。けれども、もし、それが本当のことだったら……。ある意味で、子供を守るために、多少の間違いは……という考え方もあるのかもしれない。でも……。今回の話は、真相がわかって……ではあるのだけど、そうじゃないこともあるのかもしれない……
そんな1編目の話ともリンクする4編目。1編目とも共通する親子が出てくるのだけど……。1編目でも記されていた親の側の関係性。その中で、行われていたおぞましい真実。しかし、その子供の側は……。単純に親が悪い、とも言えないような、孤立の問題。そして、そんな中でも、親を……という子供の側の想い。ただ、そうは思いつつも、嫌だという葛藤。その辺りの攻防とでもいうべきものが非常に印象に残った。
正直なところ、これまで以上に、麻野が、あっという間に真相にたどり着き過ぎでは? と思うところはあるのだけど、虐待というテーマもあってか重い話が多かったな、というのを思わずにはいられなかった。

No.5503

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