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午前3時33分、魔法道具店ポラリス営業中

著者:藤まる



毎夜のように見る悪夢。そして、目覚めると枕元には鍵束が……。そんな現象に悩まされている大学生・遠野晴貴は、「不思議な現象を解決してくれる」という骨董店の存在を知る。そこにいたのは、同じ大学に通う、美人だが不愛想な女子大生・月城環。彼女は、鍵束の正体を突き止めるため、午前3時に店に来るように告げ……
粗筋だけ見ると、すげぇ真面目な話のように見える(笑) いや、根本となる部分は結構、シリアスなんだけど……
いかんせん、環さんのキャラが強烈すぎる。不愛想というか、口が悪い、というか……。ちょっとしたやり取りで、遠野のことを性犯罪者扱いし、しかも、その本人はごくごく普通に遠野に対して、童貞だの、粗チンだの、そんな言葉を連呼する。挙句、本人はユーモアと称するものが恐ろしく回りくどくてわかりづらい。そのくせ、結構、寂しがり屋……となかなかの面倒くさいキャラである。
で、連作短編形式で綴られる物語は、魔法道具と言われる道具でトラブルが起きている状況。そして、その魔法道具は、それを作り出した人間の心の叫びとか、そういうものによって作られる。粗筋で書いたのは1編目なのだけど、母を失い、父と二人で暮らしていた遠野。そして、その母の記憶がほとんど残っていない。母が亡くなったのは10歳ごろ。物心つく前とか、そういう年齢ではない。なぜ、母の記憶がないのか? そして、その記憶を喪った理由は……
遠野と母との思い出。元々、病弱ではあったが、あまりにも突然の死。そして、その死の直前に彼が母にしてしまったこと。本当にちょっとしたこと。でも、そのことが遠野には傷として残っていた。その後悔があまりにも強すぎて……。これ、遠野のケースはものすごくハードなわけだけど、ちょっとした一言とか、そういうのがどこかに残っていて、っていうのは誰にでもある。仲の良い友達とのやりとりでも、ほんの些細な言い回しとか、そういうのに引っ掛かりがあって、なぜか印象に残ってしまう。そういう感覚を上手く、物語に落とし込んだような印象を受ける。
そんな形で物語が進むのだけど、当の魔法道具展の店主・環は、自分は魔法が嫌いである、と公言する。それは、環自身のことがあって……
4編目で、環の昔の知り合いが現れ、周囲に死者が現れるようになって……という話で明らかに。……なんだけど、1編目、2編目あたりの話に比べると、ちょっと説明くさくなってしまっているかな? というのを感じる。過去の話、1編目で出てきた母の死者も現れてという部分。さらに、環の昔の知り合いの抱えた事情……と、色々な話が交錯するのだけど、ボリューム自体がちょっと短いため、詰め込みすぎている感じがした。話としてはまとまるのだけど、説明文で解説して終わりっていう風に感じられるだけに。ちょっとそこは勿体ない、かな?

No.5512

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