FC2ブログ

サンタクロースを殺した。そして、キスをした。

著者:犬君雀



クリスマスを間近に控えた12月初旬。先輩に振られた僕は、「クリスマスなんてなくなってしまえば良いのに」という言葉を発する。そんなとき、僕の前に現れた女子高生は言う。「できますよ」と。彼女の持つノートは「望まない願い」のみを叶えることが出来るという。ノートの力を発揮させるため、偽の恋人として僕と彼女は付き合うこととなって……
第14回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。
これはまた、なかなかヘビーというか、ビターというか……
冒頭に書いたような形で始まる二人の関係。家出をしている、という少女と、大学生ではあるが出席もせず、ダラダラとした日々を送るだけの僕。二人は、なだれこむような形で同棲をすることになるが、少女は僕のことを「犯罪者さん」と呼ぶなど、偽の、と言いつつもとても恋人とは思えない関係性。恋人とか言いつつ、僕の側は何かにつけて、振られた相手である「先輩」のことばかりを思い浮かべる。そもそも、その先輩との関係にしても、身体の関係とかがあるけれども、恋人なのか? というような状態。そして、主人公の僕は、なかばストーカーのような行為に明け暮れている状況。そういう意味で、どこまで行っても爛れた、というか、下向きな関係性が続く。
しかし、そんな中でだんだんと明らかになっていく少女の状況。その中で、それまでと同じように振舞いつつも、少しずつ変化していく僕。それは、少し、前向きと言うか、そういう風にもとらえられるように。話だけを書けば、そういう感じになるのだけど、元々、現実的なのか、そうではないのか? という雰囲気だったものが、より、儚い、曖昧としたものになっていく雰囲気が強く印象に残る。そして、それは終わり方もまた……
独特の、夢うつつが……という雰囲気と、その中にある作品全般を通して感じられるビターな雰囲気。それが独特の味わいをもたらしているように思う。

No.5527

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0