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SCIS 科学犯罪捜査班2 天才科学者・最上友紀子の挑戦

著者:中村啓



病院で死を遂げたはずの人々が次々と生き返った。報せを受けた科学者・最上友紀子と警視庁の警視正・小比類巻ら、警視庁科学犯罪捜査班は捜査を始めるが……(『よみがえる死者』)
など、全3編を収録した連作短編。シリーズ第2作。
前巻もそうなのだけど、この巻も……「科学捜査」「科学犯罪」と言いつつ、ちょっとオーバーテクノロジー的な形での犯罪と、それを捜査する小比類巻ら……という形の話。なので、SFの世界に近いのかな? というのを感じる。そして、メンバーがかなりライトというか、軽いというか……
例えば、粗筋でも書いた1編目。突如、生き返って失踪してしまった死者たち。生と死はどこで? なんていう議論をしつつ、では、生き返ったとしたら、どういうことになるだろうか? そんな死者の親がある研究者で……ということが判明するのだが……。実際に起こった出来事と、SF的なものを融合させての問い。それをやってしまった人間の心情は理解できないではないが、しかし、その段階でそれをやってしまったら……という、想像しただけで残酷な結果が印象に残る。
一方、2編目『仮想されった死』は、自分はすでに死んだ存在だ、という感覚を持ってしまう「コタール症候群」。非常に珍しい症例のはずなのだが、一気に二桁もの患者が出てしまった。なぜ、そんなに大量の患者が? その患者にはある共通点があって……
うん、自分はその体験をしたことがないのだけど、確かに、近年、結構、注目を集めている技術。まだ、現在のそれは、そこまで技術が発達していないけれども、作中で描かれているとおり、今後、ますます、リアルなものになっていくだろう、ということは想像に難くない。そして、その技術を利用して死を体験してしまったとしたら……。また、死を経験してみたい、という人間が現れたとしたら……。
実際にこうなるかどうかはわからない。言っちゃ悪いけど「ゲームをやると現実と虚構の区別が……」という従来のゲーム悪影響論とかの延長に過ぎないような気もする。するのだけど……というぎりぎりの線を突いている話だとは思う。
3編目は、大学の医学部付属病院で次々と起こる変死。亡くなったのは新しい技術による治療を受けた患者。そこには……
技術開発と医療の境目……。言われてみれば難しい話ではある。作中の被害者とされている人々は末期がん患者。いわば、何もしなくとも死んでしまう存在。だから、何をしてもよい、というわけではない。でも、一方で、何もしなくても死ぬなら新たな可能性に賭けたい、という思いもあるはず。
その一方で、新薬であるとか、そういうものに対する製薬会社の思惑。さらに、それを推し進めたい厚労省。ここは利害関係という点で……というのはあるはず。でも、利益があるからこそ、技術が革新されるといえばそうだし、でも、厚労省内でのアレコレとかもあるし……。
捜査班のメンバーが結構、滅茶苦茶やってくれたり、っていうのはあるし、SF的な部分に足を突っ込んでいるところもある。でも、だからこそのテーマ性っていうのは感じる。
……というか、読んでいて、やっぱり『怪奇大作戦』が頭に浮かぶ(笑)

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