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君に読ませたいミステリがあるんだ

著者:東川篤哉



鯉ヶ窪学園に入学した僕は、文芸部に入ろうとして、「第二文芸部」の部室へと迷い込んでしまう。そこで僕を待っていたのは、自称・学園一の美少女で、第二文芸部の部長にして唯一の部員である水崎アンナ。アンナは、僕に自らが書いた短編小説を読ませてきて……
鯉ヶ窪学園を舞台とした作品。過去には、『学ばない探偵たちの学園』などの探偵部シリーズ。一応、その設定を引き継いでいる『放課後はミステリーとともに』があるけど、久々に刊行された本作は、あまりつながりはないかな? と。
物語としては、連作短編形式。冒頭に書いたような形で、第二文芸部の部室へ迷い込み、水崎アンナと出会った主人公。そこで短編小説を読まされ、さらにそこにツッコミを入れたりする。そして、第二文芸部に入部を持ち掛けられ、それを断るのだが……何かにつけ、アンナと出会い、その自作小説を読むことになっていく。
何というか、ものすごく独特な設定。これまでの、鯉ヶ窪学園の作品は、実際に事件が起きて、それを解決する、という形で物語が展開するのだけど、本作は、ただ作中作と言える小説を読むだけ。そして、その小説というのも、良くも悪くもアマチュアの作品。タイトルの通り、ミステリではあるんだけど、その中にはいろいろとツッコミどころがある。毎回、お約束として出てくる「動機は?」っていうところは別にしても……
ただ、その一方で、作中の要となるトリックの部分は、なかなか面白い。で、ここ数年の著者の作品に対して、ワンアイデアで、それ自体は面白いとしても、他にツッコミどころが、なんていう言葉を書いていた。でも、本作については、そもそもがアマチュア作家の作品だし、で上手く処理されている。見方によっては禁じ手なのかもしれないけど、こういうアイデアもアリなんじゃなかろうか?
そして、最後のエピソードで明かされる作中作の秘密。
確かにこれは驚愕ではある。あるんだけど……手をかけた割に意味がない、というところが逆に面白い(笑) 確かに、凄いんだけどさ……だからって……っていう話になっちゃうもんなぁ(笑)
初期の作品から追いかけていた身としては、どうしても長編で、と思うところはある。あるんだけど、ここ数年の著者の作品に抱いていた不満を上手く逆手に取った作風は見事だと思う。

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