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スパイ教室03 《忘我》のアネット

著者:竹町



暗殺者『屍』を巡るミッションを終えたリリィたち。だが、彼女らを待っていたのは、破壊されたアジトと、ティア、モニカ、アネット、エルナという選抜組の失踪。クラウスは、リリィを伴い、4人の捜索に向かうこととなって……
という風に書くと、クラウス、リリィ視点の物語のように見えるなぁ……
物語は、選抜組に選ばれたティアの視点が主として綴られる。実力はあるが、クセモノばかりで、協調性ゼロの面々。そのまとめ役を任されるが、当然にうまくいかない。極端に顔見知りなエルナ。実力者だが、だからこそ、周囲を見下すようなモニカ。そして、文字通りに「何も考えていない」アネット。クラウスと共に任務へ向かうには試験があるが、その試験もモニカ一人の行動で、ということに……
2巻で描かれたリリィたちの話と違い、それぞれに協調性がない、ということで一人、常識人枠と言えるティアの奮闘&空回りがまず印象に残る。いや、こりゃ大変だよ(笑) ただ、そんなティアに対し、「ぶつかることで得るものがある」とアドバイスするクラウスって、1巻段階では絶望的なまでに物を教えるのがヘタクソというキャラだったけど、今回はちゃんと師匠というか、先生というか、そういう存在としての立ち位置を学んできたんじゃないか、というのを感じずにはいられない。
そんな任務の中、過去の記憶のないアネットを自分の娘だという女性・マティルダが現れる。アネットは、親の元へ帰るべき? そして、マティルダの現在の立場が分かったときに、スパイとしての立ち位置と、仲間の幸せを思う、という立ち位置でティアは悩むことになって……
これ以上書いてしまうと、最後までネタバレになってしまうのだけど、作中、モニカがティアに対して「甘い」という言葉を連呼するのだけど、まさにティアの「甘さ」を強調するようなエピソードと言える。確かに、冷静で、時には冷酷でなければならない立場としては弱点と捉えられる部分が多いだろう、とも。ただ、その一方で冷酷なことがわかりきっている人間に、人はついていかない。警戒されてしまう、なんていうことを考えると、それが後々に武器になるように思えるのも確かなんだよな。
そんな物語の結末。最後の最後に、タイトル通り、アネットの活躍によって終わるんだけど……これはひっくり返し、というよりも、彼女のプライド、彼女の本心によってなされたことじゃないかと思う。そして、それはティアの「甘さ」とも呼ばれる部分がプラスになっている、というのを示唆した場面でもあるんじゃないか、とも。
1巻は、技巧的な部分での面白さが目立ったように思うのだけど、2巻、3巻とキャラクターの掘り下げも進み、物語としての面白さ、というのがどんどんアップしてきたな、という風に感じる。

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