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ヴァルキリー

著者:安生正



難民、移民問題が深刻化し、その存在を巡って世論が割れる2028年の日本。難民収容施設から脱走した「モグラ」と呼ばれる者たちによるテロも頻発。そのような中、公安刑事の東郷は、G20に出席するドイツ首相の暗殺を大物右翼活動家・村瀬が進めている、という情報を入手する。一方、元自衛官であり、ソマリアで傭兵経験もある商社社長・香椎は、その経営に行き詰っていた。そんなとき、彼の素性を知る何者かが彼に電話をする……
物語は、上に書いた東郷、香椎、そして、暗殺者として教育を受けていた高山という3人を中心に描かれていく。
そして、その物語の最大の焦点は、右翼活動家・村瀬が何を狙っているのか? 冒頭にも書いたような状況の中、村瀬は、日本を混乱に貶めている難民、移民の排斥を訴えている。そして、日本はもっと難民を受け入れるべきである、ということを主張しているドイツ首相を暗殺しようと計画している……というのが、東郷、警察サイドの認識。そして、高山については当初、警察もつかんでいないが村瀬によってマインドコントロールされ、暗殺を実行しようとしている暗殺者になっている。
……というだけならばシンプルで良いのだけど……
香椎に接近した存在。それもまた、村瀬の息のかかった存在。香椎は、その村瀬に操られるように各地へと趣き、そこで次々と事件に巻き込まれていく。そして、腹心の部下を喪ったり、会社内での立場を奪われていく。一方、暗殺者として仕立て上げられた高山は、その目的のために動くだけでなく、村瀬とともに動いていた「仲間」のはずの存在まで暗殺していく。警察は、情報漏洩を恐れて……とみるが……読んでいてどうしても違和感を感じざるを得ない。そして、その側近こそが、と存在が見え隠れしていき……
作中、次々と起こるテロ、殺人。その中に巻き込まれる香椎たち。次々と事件が発生していく状況のテンポの良さなどは流石で、そういう意味では面白く読めた。……のだけど、終盤に判明する部分は著者のお約束みたいなもので、「やっぱりか」っていう感じだし、終わり方も何か締まっていないような……
途中までは悪くないのだけど、もうちょっとしっかりとまとまった話を読みたいなぁ……

No.5585

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