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さいはての終末ガールズパッカー

著者:藻野多摩夫



記憶を失った自動人形「オートマタ」の少女・リーナ。人形技師の見習いでトラブルメーカーのレミ。太陽が燃え尽き、人類が滅びようとする世界で、二人は旅を続ける。ルート66の果てにあるという「楽園」を目指して……
やっぱり、著者は「旅モノ」というようなジャンルが好きなのかな? 著者はデビュー作である『オリンポスの郵便ポスト』とかと、雰囲気が似ている、というのを思う。文明が滅びつつある世界。人間と機械である存在のコンビ。なんていうのも共通しているし。
ただ、『オリンポスの郵便ポスト』が主人公・エリスと、機械であるクロのコンビの出会いがあり、そこからだんだんと信頼関係と作り上げていく、というのに対し、本作の場合、幼き日にレミとリーナは出会っており、家族としての絆もできている。そして、その家族である二人は、リーナを助けるために、楽園を目指していく最中、様々な場所を訪れることになっていく……
滅びゆく文明。かつて、人間を助け、サポートするために作られていた自動人形。そんな存在と、人間との関係、というのが印象的。
人類が殆どいなくなり、客が来なくなったホテル。しかし、そこを律義に守り、客が来る日を待ち続ける自動人形のスロットマシン。そんな世界で運送屋を営む女性・オリヴィア。資源に恵まれた街で、文明の復活を目指す技術屋たち。そして、楽園で二人を待ち受けるもの……。文明、そして、人々が滅びつつある世界で、懸命に生きる人間、自動人形たちの姿がまず印象的だし、そこでのレミとリーナのやりとりもかわいらしい。姉を自称しているけど、何にでも首を突っ込みたがるレナと、それをなだめるリーナなんていう構図は本当の家族そのものだし。
けれども、旅を続ける中、自動人形がその活動を終えるときに見る、という「夢」をリーナも見るようになっていって……。その中で、たどり着いた「楽園」で二人が目の当たりにするもの。
ここに、人間と自動人形の関係性っていうのが大きく出てくるんだよな。
作中、ロボット三原則とか、そういうワードも出てくるのだけど、本来は人間をサポートし、助けるために作られたはずの自動人形。しかし、同時にかつての技術は、人間と同等、同様の高い思考能力というのもそれに備えさせるようになった。だからこそ、レナとリーナは家族になった、ともいえる。その一方で行動原理の大本が、人間を助けるため、という自動人形。そこからくるすれ違い、なんていうのも出てくることに。
機械と人間の関係性、っていうテーマの作品は数多くあるけど、互いが互いのことを文字通り「替えの効かない」「家族」として捉えているという状況だからこその物語になっているのではないか、という風に思えた。

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