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異世界はジョーカーに微笑んだ。

著者:赤月カケヤ



罪を犯しても裁かれることのない権力者を趣味で殺害し、「正義の殺し屋」と持てはやされるジョーカー。SATにより包囲された彼は、突如、異世界へと転生することに。人質にしていたSAT隊員の結奈と共に。あらゆるものを偽装する「偽装錬金」の力を持った彼は、その世界の、救世の殺戮者になっていく……
うん、面白かった。決して、主人公のジョーカーらは善人というわけではないのだけど。
物語の舞台は、神威という超能力というか、魔法というか、そういう能力が存在する世界。その力により、人々は厳格な身分制がとられており、その中で、上位の者は下位の者をどう扱おうと問題なし、ということがまかり通っている。そして、そんな中で、平民階級を無残に殺害した将軍・ギルバルドと、その部下の三騎士を殺害する、というミッションへと挑んでいく。
このジョーカーの存在が何ともクセモノ。そもそもが善人というわけではなく、殺人も「趣味」と言い放つ。そして、何よりも口八丁と、偽装錬金によって周囲を煙に巻きながらことを進めていく様が面白い。本当、結構、正論だな、と思わせることを言いつつ、実は全くそうとは言えなかったりとか、そういうやりとりは印象に残る。
で、まぁ……この世界観なのだけど、確かに、理不尽であるし、酷いものだと思う。思うのだけど、でも、それがこの世界の常識、でもあるんだよね。これ、現実の歴史上でも厳格な身分制度があって、上の者はやり放題で……っていう時代は存在していた。勿論、その中で下とされた者は不満が溜まっている、なんていうのも事実。そのときにどうするのか? ある意味、革命前夜的な雰囲気っていうのをこの物語の中に感じる。日本史、世界史みたいなものと違っていて、この世界では上の者は、特殊な能力を持っていて、っていうのがあるからより極端に出ていることは間違いないとしても、ジョーカーがそれを打ち破って、とかいうのもあるだろうし。
歴史上、革命を起こして国を統一したとか、そういう人物の中には結構なクズみたいなのも多い。中国の漢王朝を作った劉邦とか、まさにクズだし(笑) そういう意味で、歴史の英雄に通じるものがあるんじゃないかな? なんていうのを読んでいて思ったりもした。そこが主眼では全くない話だけど。
殺人とか、凌辱とか、結構、そのまんま描いているので、そういう部分で合わない人がいる、とは思う。ただ、そこまで書くからこそのカタルシスがあるのは間違いないと思う。

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