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神酒クリニックで乾杯を 淡雪の記憶

著者:知念実希人



VIPを秘密裏に治療する会員制の医院・神酒クリニック。そのクリニックの会員から、意識のない女性の診察依頼が入る。全身ずぶ濡れの彼女は記憶喪失。そんな中で、彼女が口にしたのは「爆弾を作っていた」というもの。奇しくも、都内ではビルを狙ってのテロと見られる爆破事件が発生していて……
シリーズ第2作。
今回は、クリニックの精神科医で、天才的な洞察力で相手の心を読んでしまう天久翼にクローズアップされた巻、というところかな。
話を聞くだけでなく、相手の表情、ちょっとした動作……そういうものから、相手の心を読むことが出来る。精神科医、という意味ではこの上なく優秀。しかし、実際の人間関係では? ちょっとしたことでも自分の心の内を見透かされてしまう。相手は心が落ち着かない。そんな孤独を抱えている翼の前に現れたのは、記憶を喪った女性。そんな彼女にとって、翼は「気持ちの悪い相手」ではなく、自分を取り戻すのに必要な存在であり、頼りになる存在でもある。そういう部分が強く描かれた巻であると思う。その点での、掘り下げ、っていうのはよくできていたと思う。
ただ、前作も医療行為、に名を借りた探偵ものだったけど、今回はその点を除けばほとんど医療行為とか、そういうところはない。
「爆弾を作っていた」という記憶を喪った女性。その女性を探して動き回る謎の男たち。次々に発生する爆破事件。しかし、犯行声明などとは裏腹に、テロが目的とも思えない。だとすれば、犯人の目的は何なのか?
少しずつ記憶を取り戻していく女性の証言。遭遇する追跡者の口走った言葉。そういうものから次第に……という展開。テンポの良さなどもあり、エンタメ作品として楽しく読むことが出来た。
ただ……終盤の展開はちょっと不満。……というか、何となく、そんなことだろう、という気がしていた、というのが一つある。さらに、神酒クリニックの面々、物凄く優れた情報収集能力を持っている。だとすれば、もっと早い段階で、この真相は看破できたんじゃないか? という気がしてならない。その辺りが、ちょっと物語の都合を優先してしまったかな? という感じがして、そこがマイナス、かな?

No.5593

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