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水上博物館アケローンの夜 嘆きの川の渡し守

著者:蒼月海里



閉館間際の東京国立博物館。将来を見失い、絶望する大学生・出流は、どこからか湧き上がった水に流され、異世界へと運ばれてしまう。そんな彼を助けたのは、美青年の渡し守・朧で……
物語は、粗筋で書いたように、博物館で突如、異世界へと飛ばされた出流が、そこで出会った朧。そして彼が示した道具、不可思議な出来事に出会って救われる。そして、その後、悩みを持った存在がいるたびに、その世界へと入り込み……という形で綴られていく。
出流を流した水、というのは、その人の持っている悩み。そして、その悩みに押し流されて、そのままでは自殺などへと繋がってしまう。そのようなことをさせないため、朧は、そんな水を押し戻す、ということをしている。そんな中で、朧と出流は、そんな悩みを持った存在を救う……という役割を担っていく。
設定そのものは、結構、好みではある。幻想的な雰囲気。そして、その中でのそれぞれの悩み。1編目の、出流の、自分は何のために生きているのか? とか、2編目の、憧れの職に就いたは良いが……。ある意味ではちょっとした悩みかも知れない。けれども、傍から見れば些細なものでも本人にとっては重要なことで……というのは誰にでもあることだし、それを水の流れ、というような形で表現するのも奇麗。そんな迷える人々に対する朧の、ぶっきらぼうだけど心に響く。その辺りの関係性がすごくよかった。
ただ、ミステリと謳われているけど、ミステリ要素は薄いような。終盤、朧が消えてしまい、そんな彼を探す中で……ということはあるのだけど、試行錯誤をして、とか、そういうわけでもないし……。その辺りが、ちょっと淡々としてしまったかな? という感じはする。まぁ、朧もまた、普通の人と同じような想いとかを抱えていて、というあたりは良かったのだけど。
雰囲気とかは好きなのだけど、もうちょっと劇的な話とかが欲しかったかな? という印象。

No.5603

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