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ラストスタンド 感染領域

著者:くろきすがや



新種のウィルス騒動から数年。ウィルスの災禍から世界を救った安藤は、突如、農水省が進めるプロジェクトのリーダーに抜擢される。水がなくとも育つ新種のイネ・ラストスタンドの開発に関わってほしいという。その開発に成功すれば、世界の穀物市場で日本が優位に立てるという。だが、その開発を巡り、様々な思惑が入り乱れ……
『感染領域』シリーズの第2作。……と言っても、感染云々は関係なくなっているのだけど……
穀物開発と国際的な覇権。その関係性が何よりも興味深かったかな? 本作で描かれる新種のイネ・ラストスタンド。水が豊富な場所でないと育たない、という水稲とは異なり、水が少ない、それどころか、水が少なくとも育つはずのトウモロコシなどすら育たない乾燥地でも育つ。そんなモノが出来たのならば……。食糧生産が覚束ない土地などの問題を解決する特効薬になりうる。その一方で、それを交渉材料とすることで、日本では手に入らない資源などを、ということにも繋がる。しかし、その一方で、そういうものが出てくれば、国際的な力関係は大きく変化してしまう。そのため、中国、米国などの工作も出てきて……。イネと、国際的な陰謀? とは思ったけど、このような話を考えると……というのでしっかりと納得できた。
さらに、安藤がプロジェクトチームのリーダーになる経緯、なってからのアレコレも惹きつけられる。
そもそも、安藤をリーダーにと言ったのは、かつての上司で安藤を仇敵のように考えており、急死してしまった高村という研究者。そして、そのリーダーは、高村、さらに先代と2代続けて変死している。プロジェクトチームの研究者は、外国籍の二人。そして、そんなプロジェクトチームから、情報が洩れている上に、安藤も何度も襲われたりする。チームの中にスパイが? だとしたら、誰が?
穀物市場、覇権を巡っての国際的な思惑の交錯と、安藤に実際に降りかかってくる利権争いの影。大きな規模での陰謀と、それが安藤自身に降りかかってくる過程の繋がりもしっかりと描かれており、地に足のついた話になっていたのも良かった。
……が……
そのスパイが誰なのか? とかがわかってからの展開が……。黒幕が、前作とも関わっている人物が……というのはまだいい。でも、その存在とかが、完全にファンタジーになってしまっていて「は!?」という感じになってしまった。もうちょっと現実的な形で終わっても……という風に思えて仕方なかった。

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