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シーソーモンスター

著者:伊坂幸太郎



我が家の嫁姑問題は米ソの問題よりも恐ろしい。製薬会社のMRである北山は、妻と母の間のアレコレに頭を悩ませていた。一方、元諜報員の宮子は、義母との関係も大丈夫だと思っていたが、全く通用しないことに悩んでいた。そんな中、義母の周囲で不可解な死を遂げている人間がいることを知って……
という表題作と、その60年余り後を描いた『スピンモンスター』を収録。
そして、2019年に中央公論社から刊行された「螺旋プロジェクト」シリーズの1作。
最初に書いてしまうと、螺旋プロジェクトについては、薬丸岳氏の『蒼色の大地』しか読んでいない。そして、その『蒼色の大地』に関しては、世界観とかを全く理解しないままに読んだので、正直なところ、物語に入り込めなかった。そして、読了後も世界観などについてイマイチ……っていう部分があったりする。とりあえず、「山の民」「海の民」でずっと争いあってきていた、というところだけは覚えているのだけど。
で、そんな物語。まず、前半はバブル時代を舞台とした表題作。粗筋で書いたように、義母との関係が上手くいかず、しかも、その義母に対して疑惑を抱いた宮子。目の前に現れた保険外交員から、「相いれない存在がいる」というような話は聞くのだけど、義母がそんな存在? そんな時、夫が危機に陥って……。相いれない存在、というようなところから、螺旋プロジェクトの設定などは踏襲しているのだけど、物語としてはあくまでも伊坂ワールド。嫁姑の確執に、諜報員という設定を突っ込んできて……で、世界観が大きいのか小さいのかわからないけど、独特のやりとりで物語として完成させるのはいかにも著者らしく楽しい。
そして、その60年後を舞台にした『スピンモンスター』。科学技術が発達したが、情報の漏洩なども多くなり、機密情報はアナログで、という時代。運び屋の水戸は、新幹線で乗り合わせた男からメッセージを託される。そして、その相手・中尊寺と共に逃走劇が始まって……
水戸は幼いころ、交通事故で家族を失い、そして、事故の相手、檜山も同様。祖父母は互いに争いあい、不倶戴天の敵として認識された。そんな相手が追ってきて……。こちらの方が、螺旋プロジェクトっぽさはあるのかな?
ただ、この話の中にある、争うことで物事が進む。というものと、物事が争い続けると、争い続けることが目的となり、争うための口実を見つけるようになってしまう、っていうのはなるほど、と思う。相手の欠点を探したり、なんていうのはあるだろうし。水戸と檜山の関係。そして、このプロジェクトの二つの民の関係性。そういうのを表しているのかな? というのを感じる。

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