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うるはしみにくしあなたのともだち

著者:澤村伊智



クラスで一番の美少女と言われた更紗が自殺した。イジメなども疑われるが、そんなはずはなかった。クラスのトップに立ち、まさしく女王と言った不在の彼女が……。担任である舞香は、クラスの中である「おまじない」の噂が広まっていることを知る。それは、そのおまじないによって、人の顔が帰られてしまう、というもので……
ホラーと言えば、ホラーなのだけど、誰がそんな事件を起こしているのか? という部分に焦点が当たっている点を考えると、しっかりとしたミステリでもあるんだよな。
冒頭、更紗の葬儀から始まる物語。クラス一の美少女で、クラスのカーストの頂点にいた彼女は、顔を変えられてしまったらしい。実際、葬儀の場でも、顔は隠されていた。そんな中で広まるおまじないの噂。それでも、カースト上位の少女・夕菜を中心に落ち着きを取り戻すかと思いきや、今度は授業中、突如として顔が醜くなってしまう。さらに、そんな事件は続き、死者まで相次いでいって……
顔の美醜。気にするな、と言えばそうなのかも知れないが、しかし、何かあれば話題に上り、劣っているとされるものの心は傷つく。そして、それは振る舞いだとかにも影響を与えていく。持てる者は表に、持たざる者は卑屈に……。そんなときに降ってわいた「おまじない」の噂。持てる者は、容姿の優れない者の犯行では? と疑心暗鬼になっていき、勿論、疑いを持たれた側は反発する。そんな状況だからこそ露になっていく両者の溝。最初から、そういう部分はあるし、勿論、それが影響しているわけだけど、事件をきっかけにより鮮明になって、ギスギスとしていくクラスの雰囲気が何よりも印象的。
そして、その中での事件。自分が犯人、という人物の視点も含まれ、そこでも描かれるのだけど、本来の「おまじない」のやり方と外れているのに、なぜか発動していく呪い。なぜ、そのようなことが起こるのか。そこに隠された意味は……
おまじないの真の姿が露になった時にわかる、「かけた本人には効かない」という言葉の意味。そこがもたらす絶望感。ある意味、これって、「人を呪わば穴二つ」的なものと言えるんだろう。この辺り、ちゃんと「おまじない」としてのルールを踏襲しているのだな、というのを実感する。
ホラーとしての「怖さ」とはちょっと違う気もするのだけど(もっとも、かけられた人間の絶望は凄まじいだろう)、人間関係のアレコレ、ミステリとしての面白さ。「おまじない」のルールとでも言うべきお約束。そういうのをしっかりと一つの物語としてまとめ上げた著者の力量を再認識。

No.5640

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