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二百十番館にようこそ

著者:加納朋子



就活に失敗し、ネトゲだけを生きがいにひきこもり生活をしていた俺。しかし、ある日、叔父の遺産相続……という名目で、離島に捨てられてしまう。親から与えられた餞別も心もとなくなる中、俺は、同じような境遇の仲間を集めたシェアハウスにしよう、と思いつくのだが……
最初に書いておくと、WEB書店などで出ている粗筋と同じように書いたが、「ひきこもり」ではなく「ニート」となっている。そして、タイトルの「二百十番館」も、「210」=「ニート」というところから来ている。しかし、本来の意味の「ニート」「ひきこもり」の言葉の定義で言えば、むしろ、主人公の状況は「ひきこもり」に近いので、そちらを使わせてもらった(「ひきこもり」というと、部屋などにこもって出てこない、という印象が強いが、言葉を作った精神科医・斎藤環氏の定義では、社会的なつながりなどを喪った存在、であり、部屋などから出ない、ではないため)
と、本編に全く関係のない話をした上で……
まず思ったのは、著者の、結構、マニアックなオタク知識みたいなものが色々と出ているなぁ、と(笑) 『鬼滅の刃』『ゴールデンカムイ』『ジョジョ』と言ったネタが結構、散りばめられているし。
で、物語としては、金銭的な必要もあり、同じような仲間を集めることにした俺。早速、やってきたのは頭脳はピカイチだが、コミュニケーションが大の苦手のヒロ。さらに、挫折した医師のBJ。大学、さらにはWEB上でトラブルを起こしていたサトシ……。色々と問題を抱えた面々の共同生活が始まる、という感じ。そんな面々だとトラブルだらけになりそうなのだけど、そこは著者の作品らしく、些細なアレコレはありつつも、どちらかと言えば和気藹々。さらに、老人ばかり20人弱という島では、若者というだけ頼りにされる。そして、それぞれの得意分野を活かしながら、だんだんと自分の甘さやら、気力やらを取り戻していく。
まぁ、ド田舎育ちの自分としては、田舎の人間関係ってそんなに温かくないよ、とか思ってしまうのだけど、それは野暮か。……というか、人口20人ほどだと、逆にそうならざるを得ないのかも。そして、最近の著者のテーマとも思える「何かを喪った存在」に対する温かいまなざし、というようなものもここから感じられる。
その上での結末。ちょっとひねった形なのだけど、それも含めて、ね。

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