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イエロー・サブマリン 東京バンドワゴン

著者:小路幸也



4世代同居の古書店・東京バンドワゴン。そこには、今日も不可思議な事件が舞い込む。そんな日々を描いたシリーズ第15弾。
『夏』は、取り壊しの決まった古民家で起こるという幽霊騒動と、卒業論文のため、幻の作家の作品がないか、という大学生の話。家の中で発見された血まみれ、のように見える本。そして、その家は廃屋だったはずなのに、何十年も放置されていたようには思えない。そして、その家は、ある作家たちが住んでいた家ではないか? という話が浮上してきて……。作家が暮らしていた、とは言え、その作家だけですべてが賄えていたとは思えない。そして、幽霊騒動を引き起こしていた人物と、その家の持ち主の想いが交錯していて……。世間的には、あまり褒められた関係ではないかもしれない。でも、その中には、ちゃんと「LOVE」が存在していた、という結末は、この作品らしさを感じる。
東京バンドワゴンに買い物に来ては、なぜかその買った本を預かってくれ、という少女についての『冬』。少女の住んでいる場所は神奈川県の川崎。勿論、貴重な文献などであれば、わざわざ東京のバンドワゴンへ……というのもわかる。しかし、少女が購入しているのは、ちょっと渋いセレクトとは言え、どこの古書店でも売っていると思われるような有名作家の有名作品。わざわざ、なぜに東京まで? そんな彼女を追いかけてわかったことは……。出会いと別れを繰り返しながらの物語。堀田家を去った人間との間にできていた新たな絆が……。色々なところに人と人との縁があるのだ、というのを感じさせる話だった。
そして、最終編である『春』。この巻に入るまでの規定事項だった研人の結婚。そして、花陽の大学受験。そんな一つの物語が決着する、というところにあって堀田家の周辺をうろつく一人の怪しい男。そんな中で、藤島の婚約者である美登里の様子がおかしくて……
ラストシーンで勘一が、「久々に……」というセリフがあるけれども、やり方としてはかなり強引。ただ、そういうことをきっかけに、なかなか踏ん切りがつかなかった部分に決着を、っていうのがこの作品らしいのかな? と。
もっとも、研人の結婚とか、花陽の合格とか、そういうのを引っ張った割にアッサリと……っていう感じもするのだけど。

No.5644

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