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逢魔宿り

著者:三津田信三



ホラー作家である「僕」が見聞きした怪異譚という形で綴られたエピソード5編を収録した短編集。
著者の作品で、こういう形式の作品は多いのだけど、大体、そのようなエピソードを最後にまとめて共通項を、というようにまとめられる作品が多いのだけど、本作の場合は一応、5編目でそれが示唆される部分はあるのだけど、独立した話としても十分に楽しめる。
1編目『お籠りの家』。幼いころ、父に連れられて行った山間部の家。周囲の人々は、その家を忌み嫌い、そこで少年は7日間を過ごすことに。世話役の老婆との時間。家の敷地から出てはいけない、という中、近所に住むと思しき少年と出会い……。何だかよくわからない儀式。そんな中で、やはり何だかわからない存在にだんだんと追い詰められていく。館に現れる何だかよくわからない存在。その存在に追い詰められていく、という著者がよく描くモチーフではあるのだけど、安定の怖さ、という感じだろうか。
2編目『予告画』。こちらは、一応、ミステリ的な完結を見せる話。教師である直斗のクラスの一人の少年。周囲から浮いたような立場で、絵が上手い。それだけならばよくあることなのだが、その少年の描く絵が不幸なことを予告しているようで……。少年の描いた絵は、本当に予告になっているのか? そして、その中で直斗は……。語りの中に仕組まれた仕掛け。ひっくり返しなど、ミステリとしての面白さもある一作。
一番、怖さ、というか理不尽さを感じるのは『よびにくるもの』。お盆。大好きな祖母から、自分の代理で法事に行き、香典だけ渡して来てほしい、と頼まれた七緒。香典を渡したら、すぐに戻ってこい、というのだが行った先は不気味な館。そして、意図せず、その中で用事などを頼まれてしまい……。七緒に襲い掛かる脅威。その脅威からは何とか逃れることが出来たのだが……帰宅した彼女を待っていたのは……。約束を守らなかったから、という部分はあるけれども、彼女が感じた後悔は文字通り……。その理不尽さが何よりも心に残る。
ミステリ的な解決とかを取っ払い、純粋に怪異譚。著者の作品の中でも、純粋な怖さ、理不尽さ、みたいな部分では上位に来るのではないかと思う。

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