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探偵くんと鋭い山田さん2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる

著者:玩具堂



山田姉妹と戸村の元には、今日も奇妙な事件・相談が寄せられる。
という形で始まる連作短編形式の物語。今回もまず、事件そのものが魅力的。
1編目はオンラインゲームのパーティのオフ会に参加した人間と、彼らのWEB上での名前を合致させよ、というもの。自分も、ネットとかやっていて、オフ会とかに出たこともあるけど、オフ会では、それぞれが自分のWEB上での名前(例えば、このブログで言えば「たこやき」)として活動をするのが基本。むしろ、本名とかを出さないのが基本という印象。それを逆転させて……という発想自体が面白い。そっか、こういう形のオフ会というのが、おっさんには新鮮だった。
一方の2編目は、学園のOGであるさぁや先生が、高校時代に文芸部の文集に載せる予定だった原稿が消失した、という事件。ヒントは、その原稿を読んだ当時の文芸部員たちの書評と、当時の状況のアレコレ。話としては、結構、本格的なミステリという感じなのだけど、解決を依頼したさぁや先生が抱えている劣等感とか、そういうものがクローズアップされてくるのが印象的。
で、そんな中で、山田姉妹の、戸村に対する態度とか、想いとかがかなり面白い。例えば、1編目の謎を解くために、雪音の思わぬ特技がカギになるとか思ってもみなかった。というか、雪音さん、実はかなり色々とはっちゃけたキャラだったんですね(笑) また、2編目の推理をするために、なぜか水着でとか……ねぇ……
そして、3編目。クラスのおちゃらけキャラとして認知されている少年から依頼されたのは、SNSでの知り合いが、自殺をしようとしているのではないか? というもの。投稿された写真などから、近所に住んでいると思われるのだが……
このエピソードに関しては、謎というよりも、目的の人物、そして、戸村自身の心情というのが余韻として残る。自殺しようとしていた人物の想い。そして、そんな彼の目から見た戸村。先に書いたプールでの一件とか、そういうものについても、純粋に「楽しそう」というのはわかる。そして、だとしたら……。そんなことを指摘されたときに、戸村が思ったこと。
確かに、自分の家が探偵事務所というのは、ちょっと引っ掛かっていた。相談が持ち込まれることも、当初は嫌だった。でも、山田姉妹らとやっていることは不思議と充実している……。戸村自身の想いとしては、嫌だ、と思っていたことが、でも指摘によってポジティヴな想いへと転換する部分の鮮やかさが印象的だった。

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