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二重拘束のアリア 賞金稼ぎスリーサム!

著者:川瀬七緒



国際指名手配のテロリストを追い詰め、ルワンダ政府から1億円の報奨金を与えられた藪下、淳太郎、一花。3人は、その金を元手に、刑事事件専門の調査会社「チーム・トラッカー」を立ち上げる。そんな会社に初めて訪れたのは、3年半ほど前に起きた夫婦相討ち事件の遺族で……
シリーズ第2作。
最初に書くと、よくこんな設定の話を思いついたな、ってことだったりする。
何しろ、藪下らが請け負うこととなったのは、結婚2年目の夫婦がある日、互いに殺し合いをはじめ、結果、相討ちによって双方ともに死亡、というもの。警察は、相討ちによるもの、として捜査は終了。しかも、夫の方は、警察官僚を代々出してきた官僚一家で隠蔽という状況も垣間見える。しかし、妻の両親は、その捜査内容に納得が出来ない……
そんな感じで、事件そのものがかなり突飛。しかし、調査をする中で浮かび上がってくる夫婦、それぞれの人間性。さらに、結婚した両者の家柄の違い。そういうものが垣間見え、だんだんと思惑の違い、なんていうものが見え隠れしてくる。突飛な事件から、だんだんと現実的にありそうなところへとシフトしていって、リアリティへと繋がっていく話の流れとかは流石。ただ、そういうものが見えても、「なんで殺し合いになったのか?」という肝心の部分は謎のまま。両者の思惑のズレが表面化したのならば、離婚をすれば良いだけ……という当たり前の疑問が常に立ちふさがるのだから。
そんな時に浮かび上がってきたのは……
世間慣れしていなかった妻。友達とか、打ち解ける仲間が欲しい、と思いつつそれが出来ない寂しさを抱えた存在。そんな心の隙間に入り込み、支配をしていく存在。そして、その魔の手は、同じような過去を持つ一花にも……。ここまで極端に支配できるのか? という疑念はどうしてもある。あるのだけど、でも、ここまで極端ではなくとも、そういう存在の人間というのはいるわけだし、逆にちょっとした変化だけでも、人間関係が大きく狂ってしまうだろう、と考えるとその恐ろしさは並大抵のものではない、というのを感じる。
この作品、藪下、淳太郎、一花と、それぞれクセモノ揃いでコミカルなやり取り、というのが一つの売り。もし、これがなかったら、本当に恐ろしい、一種のホラー作品のようなテイストになった可能性もある。本作のように、コミカルなやりとりを挟むことで、マイルドに、というのが良いのか? それとも、徹底的に嫌な雰囲気を押し出した方が良いのか? 好みは分かれると思う。
でも、私は、冒頭の突飛な事件から始まっているだけに、このくらい、コミカルな形で書いたことで、読みやすくなっているのがプラスに出ていると感じる。

No.5648

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