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ボクは再生数、ボクは死

著者:石川博品



しがない会社員の狩野忍は世界最大のVR空間サブライム・スフィアで世界最大の美少女・シノちゃんとなる。そんなある日、高級娼婦ツユクサに恋をする。多額の資金が必要となった忍は、会社の同僚である斉木みやびと共に動画配信をすることとなって……
著者の作品らしいというか、何というか……。物凄いごった煮作品。
ゲーム内で死亡すると、そのままアカウントそのものが消えてしまう、というVR世界。粗筋で高級娼婦という言葉あるように、VR世界で性行為とか、そういうものもあり、殺し合いもある、という文字通り「何でもあり」な世界。そして、その世界で、シノは一目ぼれした女性と合うために、動画配信をすることで金を儲けようとする。大雑把な粗筋を書くと、そんな感じになるのだけど、とにかく、どこへ向かうのか……という感じの物語。
最初は、普通のYouTuberがやっているように、アバターの姿で「〇〇をしてみた」というような形。元々、配信を子なっていた斉木こと、イツキは再生数が伸びている、というのだけど、10とか、20とか、そういうレベル。そんな中で、人気配信者からのアドバイスをもらい、危険地帯へ赴いて、思わぬ形で再生数が伸びて……。そこからは、問題のある行動をするキャラクターを「殺す」という配信に切り替わって伸びる再生数。一気に人気配信者になるが……
リアルでのシノは、冴えないサラリーマン。しかも、VRの世界での行動のために、オムツまでして……という客観的に見れば、他人に見せられないような姿。まさに、情けない存在そのもの。しかし、VRの世界では全く違う存在。
VRとか、ネットゲームとかを題材にした作品というのは数多くあるのだけど、リアルとのギャップとか、そういう部分をここまで赤裸々に描く、というのはなかなかないのではないかと思う。さらに、配信とは別に、そのVR世界で女性を抱いて、とか、まるで芸能人とかの、「テレビの中の顔」と「現実の顔」みたいな二つの姿、というのも垣間見えていく。
なんか、読んでいて思うのは、「虚構の姿」と「現実の姿」の対立みたいなところだろうか? 当初はVR世界と、現実。しかし、配信者として名が売れれば売れるほど、今度はVRの中でもそれが出来上がっていく。しかし、その中で出来上がっていく人間関係。それは一体、何なのか? 憧れの存在であるツユクサの事実を知った時……
現実、仮想、そういう分け方ではなく、その中にさらに幾重にもある別の自分。でも、それは……
上手いこと、言葉で表現できないのだけど、ひたすらどこへ突き進むのかわからないドライブ感とその果ての、自分とは何か? というような問い。そんなものを感じた。

No.5650

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