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生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班

著者:似鳥鶏



花人。特殊能力を有し、知力・体力も常人以上。理知的な性格で、社会的な成功者も多い。1990年代にその存在について多くの人が知ることとなった彼らについて、よく思わない者も多い。そんな中、赤羽で殺人が発生。刑事である火口は、花人の捜査官・水科、昼行燈と揶揄される班長・草津と共に、その捜査に当たるのだが……
連作短編形式で綴られる物語……と見せかけた長編。
3編+αという形で綴られるのだけど、正直なところ、その序盤までの事件はそんなに面白いとは言えない。いや、密室状態、アリバイがある状態、で事件が起こり、それを解決していく。それも、全く仕事をしていないように見える草津が……。そして、その事件のキーとなるのは、花人の持つ特殊な力……。ある程度のパターン化、というのは別に良いのだけど、正直なところ、この事件そのものはワンパターンと言える。
ただ、その中で、花人が犯人として逮捕された、ということが社会そのものに大きな影響をもたらしていく、という部分が印象的。
花人は、常人と比べて、社会的地位などが高いものが多い。それは、彼らによって社会が支配されているのではないか? という不満へと繋がっていく。さらに、そんな状況を打破していこう、という政治運動へ。社会的地位、収入……そういうものを是正するための法律を策定しようという扇動者の登場。しかも、その動きは事件が起こるたびにどんどん加速していく。勿論、火口は警察官であるため、常人だろうが、花人だろうが、法を犯せば捕まえざるを得ない。しかし、この動きは明らかに行き過ぎている。さらに、花人による何かの計画が立てられている、なんていうことが見え隠れして……
結構、タイムリーな話題ではあると思うんだよな。池袋の暴走事故で逮捕されない加害者に対して「上級国民だから」というような言説が溢れたりした。それとは違うけれども、外国人に対する言説とか、そういうのもある。上の池袋の事件などを考えると、花人というのは、架空の存在ではあっても、そういう一つの事件が発生して……という社会の動きは、見事に描かれているように感じる。そんな事件を利用しようとする存在もまた……
物語として、そういう背景などが見え隠れし、そして……で一件落着にはなる。
なるのだけど、現実はこんなに簡単に行かないからこそ厄介なんだよな……というのも、どうしても思わざるを得ない。

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