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ムシカ 鎮虫譜

著者:井上真偽



スランプに悩む音大生グループが、気分転換のために訪れたのは小さな無人島。そこには、霊験あらたかな音楽の神が祭られているという。だが、上陸した彼らを待っていたのは、巨大で凶暴なムシたち。そして、そんな彼らの前に、ムシを鎮める巫女たちが現れ……
久々に読んだ著者の作品だけど、また、これまでと全く違う印象の作品だった。
物凄くザックリとジャンル分けをすると、パニックホラーというような感じになるのかな?
勝手に忍び込んだ島。そこで、音大生グループを襲う巨大で凶暴なムシ。その中で音大生グループははぐれ、音楽を操る巫女たちによって一命をとりとめる。音楽を聞かせることで、そのムシたちは凶暴さを失い、去っていく。そして、その島には「手足笛」と呼ばれる楽器が存在しており、それこそが虫を鎮めることが出来る法具として存在している。しかし、その手足笛に対しては、様々な恐ろしい伝承がある。その一方、そんな手足笛を盗もうとする存在も島には来ていて……
ムシたちの襲撃。そこから逃げる、という中での攻防。勿論、音大生なので楽器などは使えるが、スランプに陥り、音楽の道を諦めかけている者。ずっとやってきた楽器を捨てたが、しかし、演奏せざるを得ない者。やりたくない。しかし、生きるためには……そんな思いと共に、ひたすらそんな攻防が繰り広げられていく物語と言える。ムシという、感情などを感じさせない生物だからこその不気味さと、島に伝わる伝承、黒い噂。そういうのが重なっての、終始続いていく「嫌な雰囲気」というのはパニックホラーものとして十分な牽引力を持っている、というのを感じる。
そうして、たどり着いた「手足笛」とはいったい何なのか?
一応の一つの回答が示され、そして、物語自体もひと段落をするのだけど、それで終わるものなのかな? というのはちょっと思った。綺麗に終わってはいるけれども、これがトラウマになるケースだってありそうだし。まぁ、ちょっとモヤモヤの残る結末っていうのも、こういう作品の味、と考えれば良いのかな?

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