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畏修羅 よろず建物因縁帳

著者:内藤了



仙龍を救うため、隠温羅流についての本格的な調査に取り組むことを決意した春菜。その一歩として、コーイチと向かうは出雲の地。だが、そんな中、彼女の勤めるアーキテクツでは、不可解な出来事が頻発していた。そして、そのターゲットは役員として就任した手島のようで……
シリーズ第8作。
今回は、実質的に二本立ての物語、という感じ。それは、冒頭に書いた隠温羅流というのが何なのか? という調査・考察と、アーキテクツで起こる怪異への対処。
前者については、文字通りの、民俗学とかそういう感じで楽しい。元々は、岡山にあると言われるそのルーツ。そして、たたら製鉄との関り。しかし、火の関りと、水に関わる龍という存在。その辺りにどのような繋がりがあるのか? そして、鬼、である温羅を「隠す」というのはどういうことなのか? 霊力みたいなものが前提になっているので、ちょっとファンタジー的な要素はあるのだけど、それでも文献とか、そういうものを辿りながらの考察が面白かった。
一方で、アーキテクツで起きている怪異。最初はトイレに。そこからだんだんと、新たに就任した役員の近くへ……。その役員・手島は、過去に女性問題を次々と起こしており……
この手島……本当にロクデナシの極み。職場では、とにかく傲慢で上から目線で気に食わないことがあれば怒鳴り散らす。そして、私生活でも先に書いた通り。そして、手島を狙う怪異は、手島が過去に起こした女性問題の結果……という女性。けれども、決して非を認めず、それどころか気にしない。結果、手島の妻などにもその魔の手が……。だんだんと恐怖を感じる手島だが、しかし、態度は相変わらず。
春菜じゃないけど、もう、ここまで来れば「勝手にすれば?」という感じすらするような奴。ただ、それでも……となるのは、手島のため……ではなく、相手の女性のため。「人を呪わば穴二つ」ではないけれども、そこまで行ってしまったら、その女性こそが救われないことになってしまう。見方を変えれば、と言えばそうなのだけど、このあたりの因果応報という呪いとリンクしている、と言えるのだと思う。この辺りは、隠温羅流の話にも繋がっていくのかな?
シリーズ全体を見渡したとき、これまでは仙龍が……というところから、春菜が具体的に呪いを解除するために……というターニングポイントとなる話でもあり、今後、民俗学的なカラーとかもどんどん強くなっていきそうな予感がある。

No.5663

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