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谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題

著者:東川篤哉



下町情緒の残る谷根千。そんな町に住む女子大生・岩篠つみれは、兄の経営する鰯料理専門店で奇妙な出来事の話を聞く。そんな彼女が相談を持ち掛けるのは、怪しげな開運グッズ店「怪運堂」の店主・竹田津……
という連作短編集。全4編を収録。
とりあえず、お約束として書いておこう。また、短編かーい! 新シリーズかーい!
今作の舞台は谷根千(谷中、根津、千駄木) 冒頭の粗筋でも書いたように、下町情緒あふれる街、として注目されている街。……なんだけど、別に舞台がここでなくとも問題がないような気がするのは、気にしちゃいけない気がする。うん……過去作の溝の口とか、平塚とか、烏賊川市とかでも……
ただ、それぞれのアイデアは面白いものがあった、とも思う。
表題作とも言える2編目『中途半端な逆さま問題』。つみれの友人の祖母が旅行から帰ると、家に何者かが侵入していた。部屋の中の色々なものが、なぜか「逆さま」にされている、という状況。幸い、金銭的な被害はなかったものの、なぜそうなったのかは疑問なまま。つみれは、竹田津に協力を求め……
タイトルの通り「逆さま」ではある。しかし、例えば、何もかもが逆さまにされていたのか? というと、そうではない。例えば、ソファとかはそのままになっている。文字通り、中途半端。それは一体、何故なのか? そして、犯人の目的は……
こう言っては何だけど、犯人の思惑については、上手くいきすぎな感はある。ただ、その状況を作り出したことの目的。犯人候補が何人かいて、という中で、最後まで……という引っ張り方。理由はある程度分かりつつ……という物語の組み方はうまい。オチも含めて。
3編目『風呂で死んだ男』は、兄の店に名刺入れを忘れていった男。その名刺を届けに行ったところ、男は浴室で死んでいた。当初は事故死とも思われたが……という話。アリバイ工作のトリックがメインになるわけだけど、そのトリックの構図が当初、思い描いていた者は全く逆に、という発想の転換が見事だった。
全4編中、3編で窃盗事件(?)というのがあり、バラエティがあっても良かったかな? と思ったところはあるのだけど、それぞれのエピソードでのトリックは凝ったものが多く、ミステリとしての完成度は高いのではないかと感じた。

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