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ハル遠カラジ4

著者:遍柳一



ライドーに連れ去られたハルの行方を追い、極東・ウラジオストクに辿り着いたテスタたち。そこは、生き残った人々が貧しいながらも暮らす地下の街だった。ハルや、故障したアニラたちのため、表向きは人々に従うテスタ。しかし、襲来する白髪たちにより、地下の街には不穏な空気が漂う。そして、そんな中、人間を焼失させたバベルの目的にも近づいていく……
シリーズ完結編。
前巻から、ちょっと間が空いての刊行。そして、前半は、というと生き残った人々がひっそりと暮らす地下での時間。半ば、罪人のような形で牢に閉じ込められ、ハルを探さねば……と思いつつも何ともならない時間。さらに、街における「人間」の在り方。白髪、さらに、暴走したロボットたち、という脅威に怯えながらも暮らす人々がそこで培う「割り切り」。さらに、その技術者であった人物が語るバベル。世界がどうしてこうなったのか? という過去の物語。シリーズを閉じるにあたって、必要不可欠な情報ではあるのだけど、ちょっと長かった、という印象も同時に受けた。
そして、そんな過去などが明かされる中で再開するハルとテスタ。出会ったときのように、人間の言葉などを失った状態に戻ってしまったハルを前に、テスタが思うことは……
「親になる」
テスタにとって、種族は違えども、ハルは紛れもなく娘。だからこそ、様々な常識を教えたりし、「人間として」生きる道を教えてきたつもり。しかし、果たして、そこにどれほどの覚悟を持って臨んでいたのか? かつて、ハルを拾ったときに周囲に言われた責任は取れていたのか? ウラジオストクの人々のような覚悟は持っていたのか? 再び、野生と言えるような状態になったハルを前に、テスタは再び、いや、改めて「親」になることを誓う。それは、すべてを受け止めて、という覚悟を伴って……
3巻までの内容だって、読者の目から見ればテスタは立派な親だったと思う。けれども、ハルが「人間として」成長をするに従い、その気持ちを察知できなくなってしまった。過去の物語の、そんな失敗があるからこその固い決意が心に響く。そして、その結果……
結末は、ある意味で賛否両論になるかな? というのを思う。思うのだけど、ただ、人の親である、ということは、やがて子供の自立を見なければならない、っていう部分は絶対にあるはず。ハルにとっては、不本意な形かも知れない。でも、いつまでも、というわけにはいかないわけだし、時には、こういう形で送り出す。それもまた、親としての役割なんじゃないかな? というのを思う。そこまでしっかりと見守る、ということも含めて。
結構、後半の時系列がとびとびになっていて、その間のエピソードとかも読みたい、ということを感じた部分があるのは確か。それでも、テスタが親としての役割を最後まで果たした、という形での結末は素直に綺麗だった。
ただ、できれば、その途中の話みたいなのを後日談みたいな形で出してほしいな、ともちょっと思った。

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