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死体埋め部の回想と再興

著者:斜線堂有紀



正当防衛で相手を殺してしまった祝部は、それを目撃したという大学の先輩・織賀に窮地を救ってもらう。しかし、同時に織賀が部長をする(といっても、部員は織賀のみ)「死体埋め部」の部員に強制的にされてしまって……
『死体埋め部の悔恨と青春』の続編(?)的な話。
前作は、物語として「死体埋め部」の事実上の結成と、その崩壊を描いた話ではあるのだけど、今作は全4編中、前半の2編は、まだ、祝部と織賀が普通に行動をしていた時代の話。そして、後半の2編(ただし、タイトルとしては、第3話の「x」「y」という形になっている)で、前作のその後を描く、という構成。
1編目『雨降りソリューション』は、ある意味、前作の形をそのまま踏襲した形。二人が処理することとなった遺体。それは、雨でびしょ濡れになっており、それは何故なのか? というのを祝部は考える。傘は持っていた。しかし、なぜかそれを使った形跡はない。そして、一緒に埋める、とされる道具の意味するもの。一旦はこうではないか? という結論に至った祝部。けれども、あることから自分の推理の矛盾に気づいた祝部。織賀じゃないが、ただの暇潰しのはずの推理。それなのに……。良くも悪くも、祝部の妥協をしないとか、そういう性格などを現した話と言える。
2編目『遊行と有業』。合宿と称して北海道に来た二人。すすき野で飲んだくれたり何なり、としている中、二人は4体の遺体を発見する。撲殺、刺殺、絞殺、そして、一見、何もないような遺体。それはどういうことなのか? 謎解き、という意味ではこの話かな? 4つのバラバラな殺し方の遺体。その遺体がなぜ生まれたのか? そこで何があったのか、というのを考えていく様が素直に楽しかった。そして、その結末としてやったのは……結局、それか!!
そんな過去のエピソードを挟んでの3話x。織賀がいなくなって数か月。織賀の残したジャガーの維持費に金をとられ、授業にすら出席できず、ただバイト三昧の日々。そんなとき、織賀を殺した、としる人物から遺体の処理を依頼される。一人で行う死体埋め。埋める山への道などもすべて覚えている。しかし、道中で感じる孤独。そして、振り込まれる報酬。抜け出せない、という苦しさ。その中で感じる織賀の想い。ある意味では、織賀のことを完全に理解した話と言える。しかし、あまりにも寂しいが……
一方、織賀と再会した、という「y」。腕を失い、一人では仕事ができない織賀と共に山へ向かうが、そのジャガーには死体を作り出した男も隠れていて……。ある意味で、これまで通りの関係。織賀の、祝部を試すような行動と、何だかんだで、そっちに染まっている祝部自身……。いつも通りであり、「x」で感じたような孤独はないかもしれない。しかし……。どちらが良かったのか? いや、どちらであったにせよ……。そう考えると、モヤモヤとした読後感が残る。

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