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隣はシリアルキラー

著者:中山七里



社員寮で暮らす神足は、ある夜、隣室からの騒音で目が覚める。激しい水音、そして、何かを切断しているかのような物音。奇しくも、近所で女性の切断遺体が発見される、という事件が相次ぐ中、神足の頭に浮かぶのは、その犯人は隣人では? という疑念。その隣人である技能実習生・徐がある夜、出てけて行くことを見た神足は、徐のあとをつけるが……
12か月連続刊行作品の1作。
この12か月連続刊行という企画の中で出た作品の中では、一番、素直に楽しめたような気がする。
物語の導入は粗筋に書いた通り。深夜に隣室から鳴り響く騒音。その音の印象から、どうしても隣人が死体を処理しているように思えてならない。しかし、あくまでも神足が、勝手に想像を巡らせているだけ。同僚に相談をしても、思い過ごしだ、としか言われない。けれども、どんどん膨れがる疑惑。妄想だ、と言われれば、反論のしようがないが……という序盤の展開に一気に引き込まれた。
そして、そんな疑念を深めていたある夜、深夜、徐が出かけていくのを発見。後を追った神足が見たのは、工場に遺体の一部を捨てている徐の姿。危機感を覚え、しかし、警察と関わりたくない神足は、匿名で通報をするが、発見されたのは別の場所だった。それでも、徐が犯人であるという確信を得る神足。一方、事件を担当する刑事・宮藤は、徐と共に神足についても疑念を抱き始める。そして、そんな中で徐が中国にいたころ、その周辺でも同様の事件が起きていることが判明し、そして、神足の恋人(?)の周辺を徐がうろつきはじめる。
正直、中盤以降はちょっと失速気味というのはある。神足もまた、過去にある事情があり、警察に対して後ろ暗い部分がある、というのは出てくるのだけど、主人公は神足なので彼が犯人ではないことは彼自身(=読者)には一目瞭然。しかし、警察は当然と言えば当然なのだけど、神足も同じようにマークする。途中から、宮藤視点で神足を探る描写とかが出てきて、ちょっと冗長に感じる部分が出る。また、著者のお約束とも言えるひっくり返し。これもあるのだけど、警察関係者を除く主な登場人物が、神足、徐のほかに二人しかいないので……。そこは無理にやらなくとも……というところはある。
それでも、序盤から引き込まれ雰囲気などを楽しめた、という意味では素直に楽しかった。

No.5699

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