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探偵は友人ではない

著者:川澄浩平



海砂真史の幼馴染、鳥飼歩はなぜか学校へ行っていない。頭は切れるが、自由気侭な性格で素直ではない。けれども、困った真史がお菓子を手に尋ねれば、謎を解いてくれる名探偵。依頼人と探偵と言う関係性のふたりは、友人とは言えない……
『探偵は教室にいない』の続編にあたるシリーズ第2作。連作短編集で、全4編収録。
前作が鮎川哲也賞の受賞作で、その名の通り、本作も謎解き、というのが中心にはある。あるのだけど、タイトルに友人という言葉が冠されているように、今回は、友人関係というものをクローズアップしたような話が集められている。
1編目『ロール・プレイ』。真史の、部活の先輩であった鹿取。彼は、かつて、塾に通っていた時代、歩と親交があった。他の人と打ち解けないような歩だったが、塾で学年の壁を越え、仲良くしていたのだが、先生がやっている演劇を巡ってぶつかってしまったという。その演劇の内容は? これなどは、まさに人間関係のアレコレというのが主題になってくるし歩の不器用さ、というのが垣間見える。
また、3編目『作者不詳』は、美術準備室にあった謎の絵を巡っての物語。美術教師である柳に対する疑惑とか、そういったものが見え隠れしつつ、その真相は……。真史は、部活を頑張り、何だかんだと表舞台にいる側の人間。けれども、学校にはそうではない、そうすることができない者もいる。そういう存在をどうするべきなのか? ある意味で、歩だって、近い、と言えば近いはずだし……。学校と言う場における人間関係とか、そういうのを示唆する話、といえるのかな? と。
そして、4編目『for you』。仙台へと旅行に行っていた真史。歩もまた、アメリカへと旅行に行っており、北海道へと戻る日は同じ。ならば、と、空港の喫茶店で落ち合い、土産を交換することにするのだが、その後、歩の行動には不可解な点が見え隠れしていて……。こちらは、探偵役であるはずの歩が容疑者(?)となる変則的な話。しかし、解決してみると歩の、普段の謎解きの様子などとは違った不器用さが露になる。
で、最初にも書いたように、今回はただの謎解きじゃなくて、そこに関連する人間関係が中心と言った印象なんだよな。1編目での鹿取先輩と歩の過去。3編目の真相と歩の状況。そして、歩自身の不器用さが露にされる4編目。間違ったことをしていない、としてもそれだけでは人間関係がうまくいかなくなることもあるし、そんな状況を変えたい、という歩のいじらしさなどもある。真相などに、ちょっと暗いものを感じさせるエピソードもあるのだけど、ラストで温かい読後感になるのも印象的だった。

No.5702

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